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Povery in academia

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日本で若手の研究と生存の両立がどうやったら可能になるのか、考えています。「三人寄れば文殊の知恵」で助かってます。アイディアいつでも受け付け中。よろしくね。
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記事一覧

女性差別の継承を”断じはしない”メッセージは、「女子学生からのみ」研究者を足場とするキャリアプランを奪い得る

十年以上前だったら、あれをライフハックとしてやっていた女性はかっこよかっただろうと思うし、自分も当時に生まれていたら「そうやって乗り切っていくぞ」と張りきっていたと思う。でも今は、これまでの様々な市民の不断の努力の結果、もうその段階からようやく、すべての人に平等な高等教育の機会の均等を求め、女性差別自体を厳しく追及する動きが、やっと、やっと、現実味を帯びてきたんですよね。

そういうものに救われつ

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身体性は無視できない。ソフト面での貧困院生の窮状〜物資・芸術支援も大歓迎。

来月修論が終わったら秋からまさかのプー太郎になることが決定したmkepaです。何だか某団体の発起人になってしまいました。集まってきた院生たちが有能ですごいです。皆苦境のなか才覚を発揮していて感銘を受けています。 新しい賛同者、院生の参加者も常時受け付けていますので、どうぞお気軽に連絡下さい。

その団体主催で、秋〜冬に「2019年時点での日本の若手研究者(特に院生)の直面する問題レビュー」を趣旨と

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自然科学の知は本来、誰かのものではない。

自然科学の知は本来、誰かのものではない。

「知財の獲得は技術開発の根幹である」

この記事では、技術が全てであるベンチャー企業が大企業に搾取されたり勝手に企業秘密を奪ってしまったりという例が取り上げられていた。「中小企業 対 大企業」という構図である。

「公的機関 対 民間企業」という構図でも同じことが起きる。国が公的に研究を保護、つまり出資しないと、同様の搾取が起きる。貧しい公的機関は、出資元である民間企業に対して立場が弱くなり、対等

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国への要求第0版 -若手研究者の生存と研究、両立させてもらえますか?2

前エントリーでは、博士課程研究者が応募できる奨学金の中で一番良いとされている「学振DC」について、ざっくり書きました。お分かりの通り、どうみても改善の余地だらけです。伸びしろしかない。応援すればする分だけ立ち直ります。

で、初手として国側に要求したい、学振DCの改善方法を簡潔に提案します。

要約
1.最低賃金上昇にともなう支給額の引き上げ
2.研究奨励金への課税停止
3.社会保険加入、その他社

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これでも勝ち組です -若手研究者の生存と研究、両立させてもらえますか?1

若手研究者の直面する貧困と性差別をどうにか直そうとしているmkepaです。可及的速やかに直す方法を画策し、この3週間、諸方面に問題提起し情報収集を行ってきました。気に留めてくれた人々やその紹介で出会った人達と意見交換した結果、少し方向性が見えてきました。

※ここで若手研究者とは、博士課程研究者(修士号は取得済みで博士号をとる前)・ポスドク(博士号をとった後)を指したいと思います。

日本の研究者

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はじめて参議院議員会館に入った

どうも。若手研究者が直面する貧困と性差別、その二つの問題をどうにか直そうとしているmkepaです。修士課程の学生です。数学をやってます。マスターの学籍はフランスにありますが、博士からは日本に戻ります。その後は知りません。ここ一年は貧しくてクレジットカードの分割払いでなんとか凌いでいますが、この前通勤定期(半年88000円)を買ったら、分割払いすら支払いが追い付かなくなってきました。生活が苦しくて、

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長すぎたキャプション

私はまだ修士課程在籍中で、秋から博士課程に行く予定なのですが、ここ1年くらいアルバイトで食いつないでいて、非正規雇用歴はたった1年ですけど、既に経済的な理由で疲弊しています。

でも、私はまだマシです。これまで利子付き奨学金だって借りてないし、自分の尊厳を犠牲にして頭下げれば金を貸してくれる実家もあります(諸事情で下げるわけにいかないけど)。アルバイトだって、研究のアルバイトです。飲食店とか塾とか

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若手研究者の窮状(序)と、金ダライ

先日、理数系の博士課程の先輩(男性)と、若手研究者の貧困について話していたときのことだ。
「学振(DC1)の条件は本当に酷い。地方出身で東京で一人暮らしをしている学生にとっては、特に酷すぎる。実家が金持ちじゃないと無理だよね。」
という話題だった。

学振(博士課程学生向けの給付型奨学金のようなもの、月20万支給。後述の通り本当に条件はヒドイのだが、これ以外ほぼ選択肢がないので皆必死こいて応募書類

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