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【観た/2022年48本目】映画「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」観ました。

【感想】
街に「パンクス」が消えた1990年代後半、突如として現れ、狂乱の社会現象を起こした伝説としか言いようのないロックミュージカル!

まず、脚本・構成。
ジェンダー問題、家族の関係性、神と人間という信仰、そして年の差のある恋。
それぞれで一本づつ作れるような要素を100分弱という短い尺にきっちりバランスよく配置。
東西冷戦下のベルリン出身というベースもしっかり効いていて、
全体主義的なものに対するアンチテーゼのようなものも感じました。
ちょいちょい某有名ミュージカルを皮肉るようなシーンや、
ポップス全盛期ロック低迷描写などなど有り、
笑ってよいのかどうか、、、、。
とにかくひねりの効いた脚本でした。

そして演出、演技、何より音楽。
やっぱりミュージカルなので音楽ありきなわけです。
上映時間の割に曲数が多く、歌詞もメッセージ性が強く聴き応えが十分あり。
プロットの回収も速く的確なので無駄に観疲れしない。
総じてバランスにかなり配慮された演出、音楽、配役です。

強いて言うならですが、
・あと10分ぐらい尺をのばしてもうちょっとヘドウィグの生い立ち、バックボーンを追ってほしい。
・おそらくこんなに全世界的なムーヴになると思ってなかったせいなのか、小ネタが拾えないところも多数。
といったところでしょうか。

日本でも数々の名優が舞台版で挑戦してきた作品。
何よりもテーマの普遍性が輝き、現代でもなお新鮮。
2022年9月現在、パンクもロックも「死んでない」です!
多様性が命運を分けるであろう今日だからこそ観ていただきたい作品でした。

【価点・つけるとしたら】
☆4.0です。

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