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篠田節子 仮想儀礼(新潮文庫)を読んで

今回もネタバレなしの抽象的感覚派読書感想文を書いていきます。作品は篠田節子さんの仮想儀礼です。

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大まかなあらすじとしましては、ゲーム作家になろうと、公務員を辞めて家族にも見捨てられた正彦が、同じく無職の色男矢口と共に新興宗教を立ち上げる話。宗教を通じて様々な問題を抱えた人たちを惹き付け、企業社長、大きな教団などが巨額な金銭の授受を目的に寄って集って来る。益々大きくなっていく教団を正彦はコントロール不能となり、信者が暴走していき、、

新興宗教がテーマの作品で重たい題材を取り扱っているものの、物語のスピード感があり、すらすらと読めてしまいます。
上下巻でそれぞれ500ページ以上あり、重たく思えるものの、読み始めたら一気にページをめくっていました。

この作品は一見重そうでも、さっぱりと飲み込みやすく、作品内で出てくる乳香の香りが宗教がテーマということもあり、作品全体に染み渡っていると思いました。
例えると、大きめのボリュームのある牛乳パンと、小倉あんぱんを頬張っているような感覚でした。
上巻で、爽快感のある宗教者としての成功と、崩壊へと不穏な動きが牛乳のこってりと爽やかな味わいと、後味で残る口の中の粘付きがあります。下巻で粘付きの残った上に甘く香ばしい餡子のような執拗なバイオレンスが続き、下巻の途中くらいから甘さによる酩酊感を覚えます。
甘さに溺れたい人には、オススメの作品かと思います。

これで今回の読書感想文を終えます。
気になった方はぜひ読んでみてください。

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