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20220202:刀畿(とき)の回:回想

刀畿(とき)

「爺グロリアスへ


薔薇の実、ありがとう!

引退後の間食の美味さは格別だ!


そうか、俺様はそっちでも粉骨砕身してたか。

じゃ、そういうビョーキなんだナ。


そうか、そっちでは第18代ワケイザ国王映賀様

そんなに御若くして身罷みまかられたのか。

じゃ、こっちの俺様はツイてたんだな。

下士官歴はお前様が三人目だからな。

評判はそこそこだった筈だが、

第4代ワイズ・リヴィールグロリアスの親父様とは偶然の出会いだった。

この裏にワケイザ料理店が在るだろ?

あそこの職探し掲示板へ

次期の士官募集の張り紙をしようとした時に

お声掛けいただいて、

酒を馳走になりながら話を聞いたんだ。

『目が悪いなら打って付けだ』と、

『兎にも角にも愛息の容姿にだけは触れてくれるな』と。

その日は何を言われてんだか分からなかったが、

会って、

部隊の者達の反応を見て、

納得した。

俺様の最後のキラキラの士官は、

憂い顔が却って

老若男女種族問わず

臍下三寸を刺激しちまうらしいとナ。

なのに御当人ときたら、

目が赤いのが原因で、

差別されたり

しつこく見られたり

喧嘩売られたりしてるんだと、

思い込んじまってるときた。

ちょっと笑えた。

だが、

理由が何であれ、

嫌がってる事からは絶対に守ってやらねばならんから

最大限尽力したものサ。

そっちの俺様も、そう・・だったんだと思うと誇らしいナ。


寿命の日を心待ちにできるとは思いもよらなかった!

ありがとうな!


     お前様の友でも在る刀畿より」


3897年2月2日せき曜日、上之城刀畿:記。


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