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大規模怪異発生日記26

話中の万禮一家は、
メンバーシップ「夢了の皿」会員の万禮様のオリジナル・キャラクターで
設定その他は会員様御本人と話し合っております。
711号室出演者≒メンバーシップ会員様は常時募集中です♡

万禮様の偶さか日記17も併せてお読みいただくと解像度とエモさが跳満です。


暗夜迷宮日記スクショ 第二十六更新分
20230526~20230531
テキストは以下

主な登場人物


万禮ばんらい久幸ひさゆき、ヒー、始祖:
かど凌司りゅうしのバンパイアにおける直系始祖。
かど凌司りゅうし、りゅーし:
万禮ばんらい久幸ひさゆきのバンパイアにおける直系係累。


左から
西田にしだ絵理香えりか凌司りゅうしの元妻。
朗正あきまさ華代かよの生母。朗正あきまさ凌司りゅうし絵理香えりかの子。母と同居。
華代かよ凌司りゅうし絵理香えりかの子。幼少時に父方祖母の養子となる。
左から
ラン:久幸ひさゆきの友人。凌司りゅうしの恩人。
トゥ、師匠:久幸ひさゆきの友人。凌司りゅうしの魔術の師。
泰市たいち:ランとトゥの伴侶猫。
上段左から二番目がナリス。
下段中央が京斉店長。

20230526

ナリスさんが誕生日だそうなので
愛息朗正から譲ってもらった古い教科書を
C'mon諭カモンサトへ届けた。
福祉科高校の教科書は
未だ手許に置いておきたいからと断られたが、
小学一年から中学三年までの膨大な量が揃っていた。
物持ちの良い母子で良かった。
私に委ねられていたら進級と同時に
貧困家庭支援団体へ寄付してしまっていただろう。
落書きを含む書き込みが沢山あったが、
リアルな学生気分が味わえそうですと
京斉店長が請け合ってくれた。
有り難い。

20230527

昨日の稽古で
掴めそうで掴めなかったものを
今度こそ掴めそうな気がしたので
このシーンの相方に頼んで
対面稽古に付き合ってもらった。
予感は的中した。
独りでは高められなかった嗜虐心が
――そもそも私に嗜虐趣味が
全く無い事が敗因なのだが――
まるで今まで眠っていただけ
とでも言わんばかりに
はっきりと覚醒し身の内に増幅された。
会心の演技を披露したは良かったが、
解散後も血走った欲求が治まらず
プールへ飛び込んだ。
戸惑う。
400メートル程で
体力の方が根を上げたので
サウナへ移ったら
始祖と出くわし、
土果の話をしていたら
何時の間にか落ち着いていた。
有り難い。

20230528

朝から風呂三昧している。
始祖が昨日
小さな浴槽に浸し始めたと言う
北海道積丹半島の湯の花を堪能した。
この邸の数々の風呂とサウナとプールには
実に救われている。
最初間取り図を見た時はあほかと思ったが、
今日まで二つ以上の浴槽に浸からない日は無かった。
防水タブレットのお蔭で稽古できるのも有り難い。
嗜虐心について誰かに相談したかったが
藪から蛇を出しかねないので止めた。
やっと平常心を保てているのに
燻り出す必要も無かろう。

20230529

異界に瘴気?
快適。実に快適。
身も心も軽い。
新しい戦術を気軽に試し
幾つか新しい呪符が発動しなかったが
幾度か敗北に追い込まれたが
私の口許には笑みさえ浮かんでいた。
私は異常に高揚していたのだ。
帰宅して気付いて青褪めた。

20230530

異界での記憶が無い。
否、始祖の結界外か。
門の外に出た瞬間から
記憶が消えているようだ。
始祖と共に出陣した筈が帰宅していた。
意識障害?
桔梗院の記録ログを確認すると
安定して勝てる仲間と共に
安定して発動する呪符を携えて
退魔任務を完遂してきているのだが、
何一つ記憶が無い。
始祖が担当医に報告し、
担当医からは直ぐ来るよう言われ、
始祖が繋いでくれた
邸から病院までの界狭間を通って
緊急受診した。
昨夜の記憶も無くなっていたので
担当医に日記を読んでもらった。
今夜は検査入院する事になった。
顔色も変えず片時も離れず
傍に居てくれている
始祖の存在が実に有り難い。
研究者達の反応を見るまで、
大した事ではないと思わせてくれた。
大丈夫だ。
冷静に眺め直してみると
研究者達も何かを恐れている表情ではない。
モルモット宜しく
あちこち摩られて電子機器を繋がれて
精々調べ尽くされるだけだ。
肉体的苦痛を与えられる事は無いと
担当医も保証してくれた。
何かしでかせば始祖が止めてくれるだろう。
今は信頼して身を委ねるのみ。

20230531

比較用事前データが少な過ぎると
研究者に理不尽な嫌味を言われたが、
担当医がピシャリと遣り込めてくれた。
数十分か数時間か、
目覚める度に知覚鋭敏化が進んでいて
気が狂いそうになった。
否、睡眠中の知覚鋭敏化の
急激な進行に連れて、
何部屋も向こうの小さな物音に目覚めたり、
引き戸と廊下を越えた何処かの
便所の誰かの糞尿の臭いに目覚めたり、
カーテンの向こうの何かの点滅灯に
目覚めたりしたのだろう。
明け方前に始祖が
結界を張り足したと言ってくれ、
実際その後は
――朝に起こされる事もなく――
昼過ぎまで微睡んだ。
残念ながら
微睡みの中の幻覚に似た
悪夢のせいで憔悴し切っているが。
始祖「カヨちゃんの夢か?」
私「助けられなかった……」
始祖「逆夢だ。
俺の実力を信じられなくても
退魔師仲間は信じられるだろ、
あの強さと冷静さ。
あいつ等が居てくれりゃ必ず勝てるし、
怪異に拐われたやつ等は必ず取り戻せる」
私「久幸さんの力も信じてるよ」
始祖「知ってた。
……言ってみたかっただけだ」
私「フ……。
ぼく、睡眠中に尋問でもされた?」
始祖「された。
俺がそうした方が良いって言った。
発狂トリガー引いちまった時に
意識の有る凌司君抑えんのは怠かったから」
私「フフ、言い方。
そんな誤解を招く言い方しなくても良いのに。
照れ屋だなぁ」
始祖「ヘッ。俺はズルいから
分からねぇ相手には恩着せまくるョ」
私「うん、それで良いと思うよ。
……ぼく、内面変化も起こってた?」
始祖「多分な。
全員が全員凌司君とは付き合いが短いけど、
ああ、深山から聞いたかもしれんが
昏睡中に聞き込みと
ネット履歴調査もしまくってるからさ、
ニンゲンだった間のケースバイケースの言動と、
それから推察できる人間性ってのは
バンパイア協会でデータにしてあるんだ。
凌司君の場合は
それが多めだったから助かったよ。
ガキの時分から引き籠もって
何もかんも心に秘めちまう
ロム専人生歩まれてっと何も分からねぇからな」
私「ネットもかぁ」
始祖「最近はそれが滅茶苦茶
役に立ってるケースが増えてるな。
リアルとネットで顔が違うやつが多いから。
凌司君はビタイチ変わらなくてウケたけど」
私「実際は両方共理想を演じてるだけなんだけどね」
始祖「あー、まぁな。
でもそんなのは俺と医者が解りゃ充分だろ。
何十年も理想を演じ続ける意気地ってのも
また1つのデータだし。
さ、今度は眠れる筈だから寝ちまいな。
異界は22時に迎えに来る」
私「ぼく、異界に行って良いの?」
始祖「大丈夫だ。……医者のモニター付きだから」
私「モニターね、成る程。
でも今はその方が有り難い。ありがとう」
始祖「何も。ラントゥちゃんに伝える事は?」
私「久幸さんが居るから大丈夫な気がするけど、
これまでと同じ付き合いが続けられる程度の
変化で済むよう祈ってくれたら嬉しい、と」
始祖「りょーかい」
身も心も変化しないのは生きているとは言い難い。
せめて心は思う方向へ変化したいじゃないか。


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