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20220208☆彡ラン・リエルロイスと兎小人:第一話

711号室

わたしはを持つ土塊つちくれの星の

ストュスアイ王国セトフォルドに建つ集合住宅の711号室。

記憶と意思を持つ。


今日はマリエラセス暦3903年2月8日はく曜日、

新しい住人が入った。

マリエラセス連邦生まれ、

ミュツール共和国育ち、

ラン・リエルロイス、

右耳欠損犬獣人、

19歳。

養母のリエール・スウェイトウディスが

24年前に青春時代をこの部屋で暮らした。

リエールから来客の選別を依頼された。

リエールは管理人を通してわたし・・・に挨拶し、

愛娘ランが近所に住む甥に乱暴されていた事が

昨日発覚したから、

此処で気分転換と養生をさせる為に

ランの様子次第では来客を追い払って欲しいと宣った。

「その昔、従兄弟を放り出してくれた時のように」。


三時間後、

住人が増えた。

マリエラセス連邦生まれ、

ストュスアイ王国育ち、

名無し

右耳欠損うさぎ小人しょうじん

自称27歳。

ランが規則正しい生活を送る為に

募集した住み込み目覚ましアルバイトだ。

【登場地】

小人とは、

ヒューマンに愛される機会に恵まれないまま

死んでしまった伴侶動物から発生する。

近年、

猫・犬・鳥に加え、

兎も小人として発生するようだ。

小人達に辛い記憶は一切なく、

愛し愛されるたったひとりの伴侶

すなわち生涯を共にする契約者と、

出逢い添い遂げるという目的が本能に刻まれている。

契約者はすべからく

小人から選ばれ

熱烈に請われる。

唯一人の契約者候補が死ぬまで

請い続ける小人に、

最終的には須らくほだされる。

寿命は短命二足歩行種族(ヒューマン、獣人、小人)の中では最も長く、

契約者が亡くなってから

任意で単為生殖する。


小人の殆どがヒューマンを契約者と見初めるが、

この兎小人は犬獣人のランに運命を感じたようだ。

募集の貼り紙に残ったランの移り香に惚れたそうだが、

ランと容姿に多くの一致点があるから

勘違いではないのだろう。


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