偶さか日記18(暗夜迷宮PC日記)
イラストやスタンプは全て嘉又夢了氏
文中の凌司君は氏のキャラクター。
事前に関係を組んでいます。
主な登場人物
5月28日
私立校オーナーをやってる直系兄弟分(始祖が同じバンパイア。)から304円分もの俺好みの記念切手が貼られた封筒が郵便受けに届いた。
俺が使った大蝙蝠便(バンパイア同士専用郵便。闇速で着く。)を使わずに、ニンゲンの郵便局に週末料金を払ってまで、返事を出したという実感を味わい尽くしたかったらしい。
古式ゆかしいアナログ手紙が余程嬉しかったんだな。
パソコンで作った文面をイカす便箋にわざわざすっかりご無沙汰だった万年筆で手書きして、十数枚も書き損じを屑篭に放り込んだ甲斐があったってモンだ。
教師にアンケートを取った結果、貰えるものさえ貰えれば休日に1校時余分に働いても構わないという教師がちょうど6名得られたから、兄弟分が担任役を買って出ようと言ってくれた。
丸一日の体験入学で気に入って、年単位の都合が付けられたら、特別バンパイア学級にそのままの姿で入学もさせられると。
擬態が苦にならないなら普通学級でも良いと。
ドッチが先だったか思い出せねぇ位の同期兄弟分は、俺からの連絡を心から喜んで、でき得る限りの支援を約束してくれた。
嬉しいねぇ。
5月29日
探索中の凌司君がイケイケのゴキゲンで、俺は思わずドン引きしてた。
マスクのせいで表情が仲間に見えないのが救いだった。仲間にまで見られたら後々凌司君が傷付くだろう。
凌司君は新しい呪具とスキルを手に入れて嬉々とする人種じゃねぇのに、丸でゲームのように楽しんでた。
発動に失敗しても、そのせいで仲間が倒れても、敗走する羽目になっても、始終ヘラヘラしてた。
バンパイア化移行期の感受性迷走以外に思い付かなったから担当医に報告した。
担当医に訊かれたから、回収箱の中の使用済み輸血パックの日付を確認したが、間違えた形跡は無かった。
暫く24時間体制でデバガメだ。
5月30日
日中は至って普通に過ごした凌司君だったが、探索から帰って門の内に入った瞬間に狐につままれたような顔で立ち尽くしたから話を聴いたら、門を出たばかりで何で帰ってきてるのかと。
桔梗院の戦闘ログを見せて探索も恙無く済ませた事を教えてやったが、凌司君はビタイチ記憶が残ってないと青褪めた。
慌てない騒がない焦らせない。何時かの直系兄弟分(始祖が同じバンパイア。)の言葉が脳内エコーした。そうだよ、ポーカーフェイス、ポーカーフェイス。
俺が担当医に連絡したら、凌司君は緊急入院になった。
俺の結界外だと記憶が飛ぶようだと凌司君が言うから、俺が先に病院に行って凌司君との間に界狭間を繋いで、凌司君には界狭間を通って病院に来させた。
採血、レントゲン、心電図、脳波計測、凌司君の全知覚を俺に一方向同期…吐くかと思った。
漣が広がるように切れ間無く全ての知覚が増幅して鋭敏化され続ける様に目眩がして明け方まで動けなかった。
すっかり忘れてたが俺の移行期もこんなんだった。俺の始祖が知覚抑制結界を張ってくれた筈なんだが、下手糞だったんだろ。俺は一週間位、寝込んだまま吐きまくってた。
ああ、動けるようになったら結界を張ってやろうな。
5月31日
凌司君の一人称がずっと「僕」だ。
聞いた事も無い「俺」に変わるより万倍マシだが、哀れこの上ねぇ。
ま、そんな表面的な部分程に芯はグラついてないみてぇで、医者も見る目が変わったようだ。
俺が夜まで留守にする事と、二人が退魔任務遂行する事の許可が下りた。
土果の散歩と、ラントゥチャンへの報告を済ませて、タイムリミットが迫ってたから俺自身の喉を風俗で潤してきた。俺は何に関しても大事な局面程、根性論で持ち堪えようとして上手くいった例が無ぇから仕方ねぇ。
経験則があるならあるだけ活かさなきゃな。エテ公と変わらねぇだろ。
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