244.20220812☆：竹晴の回：自己紹介
俺は一番馴染みが薄いから、
しっかり自己紹介しなきゃあならないよな。
というのは、
三十四年前フレデリックの住んでたこの部屋に、
ハイドと一緒に転がり込んでた
幼馴染で婚約者で相棒で初恋だったヤツを迎えに来ただけだから、
ハイドともフレドとも親しむ程長くは過ごさなかったんだ。
左から
里英こと竹晴、
響哉こと夕静、
音隠ことハイド、
香治ことフレデリック。
当時は、夕静が俺の氏を偽名に使ってたから、
咄嗟に俺はヤツの氏を名乗った。
本名は響哉竹晴。
一応男性体男性自認だが、
性的指向は夕静だから、
その時々夕静が求める性になった。
代わりに夕静は俺の特殊性的嗜好窒息フェチを叶えた。
この数年はご無沙汰だし、
この休暇中も致す予定は無い。
ヤツもハイドも更年期障害真っ只中で
とてもそんな気になれないらしい。
まあ、俺達も溜まって
脳みそが茹るような歳じゃないから
問題無いだろう。
……フレドには酷かもしれないのか。
まじか、
俺達の結婚式以来ハイドと会えてなかったのか。
は？
首っ丈のまま二十一年振りの再会……？
え、俺のお仲間かよ。
ま、良いや。
収まる処に収まると良いな。
で、元い。
自己紹介に戻ろう。
加護は夕静と同じ「第２２代ワケイザ国王専属鍼術師となる者」。
二年前に我等が王が身罷られて今は無職。
生まれてから他の仕事をした事が無かったから、
バースセイバーのバイトを結構楽しんでる。
前の住人が寄付していったという
立派な装備のお蔭で
大きな怪我もせずに済みそうだ。
流れを眺めるに
ツイてるから大丈夫だろう。
すげえな、
意思がある部屋７１１号室。
三カ月、宜しく。
マリエラセス暦４０４４年８月２５日緑曜日２２：２４。
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