■エセカウンセラー、エセコーチ

5年前くらいのお話。
30代の女性からこんなお話を聴かせていただきました。

丸一年付き合っていた彼氏がいたのですが、煮え切らない態度に業を煮やして、思い切って聞いてみたそうです。
「将来のこと、結婚のこと、どう考えてるの?」
すると、彼の答えは
「ああ、〇〇ちゃんは『早く結婚したい』という気持ちがあるんだね」
思い切りひっぱたいて、すぐに別れたそうです(笑)
(ちなみにその一年後、彼女は別の男性と結婚されました)

彼女曰く、その彼氏は仕事とは別に心理学やカウンセリングの勉強もしていたらしく
「俺は聞き上手で、いろんな人から頼られるんだ!」
と言っていたそうです。
ただ彼女はそのよそよそしい話しぶりになんとなく違和感を覚えていたようです。

さあ
「ああ、〇〇ちゃんは『早く結婚したい』という気持ちがあるんだね」
これのどこが問題だったのでしょうか?

バックトラッキング、というスキルテクニックだけで考えたら完璧ですよね?
オウム返しにするわけでもなく、ちゃんと彼女のココロを汲んで、言葉を言い換えて返してます。
教科書的には100点満点なのでしょう。

でもね。

距離感が遠すぎるんです!
カウンセリングの時は依存をつくらないように、しっかりと聴けるように、「離別感」をあえてつくります。
でも、彼女でしょ??
「早く結婚したい」
という言葉の裏側にあるココロも見えているんだったら、ちゃんと答えてやれよ!っていう話ですよね?
彼女に見えてしまったのは
「スキルテクニックを使って結婚という重さから逃げようとしている彼氏の深層心理」
だったのかもしれません。

さ、これはビジネスにおいても共通です。

コーチングを学んで、それをそのまま部下後輩に使おうとする人がいます。
これは無理があるんです。

コーチングにおいては
「コーチとクライエントは対等」
という大前提があります。
そして、クライエントから見て
「安心・安全が担保されていること」
という大前提があります。

上司部下の関係はどうでしょう?

普段から良好な関係を築けていたとしても、そこには
「人事権」
というある意味「安心・安全」とは対極にあるものが介在します。
そして上司部下という確実な上下関係が存在するのです。
それらを認識したうえで、コーチング・カウンセリングをしっかりと自分の職場用にカスタマイズして使う、ということをしなければ逆効果になりかねないのです。

では、どうすれば上手にカスタマイズできるのか?

それを教えるのが、企業研修でコーチングやカウンセリングを教える私たちの仕事なのだと考えています!

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