■パワハラ問題はそんなに簡単じゃない 〜パワハラを巡る不都合な真実〜

駅伝、サッカー等々。
年始はスポーツも盛り上がりますね!
表舞台の華やかさの裏側にあるパワハラ問題。
昨年はJリーグでも2チームの監督がパワハラで処罰されるという事態がありました。
でもこれは氷山の一角で、育成年代におけるパワハラは目に余るものがあります。
試合中ずっと誹謗中傷罵声の嵐、というようなチームと対戦したこともあります。
いい加減、こういう人たちのことを「熱血指導者!」と持ち上げるのはやめてほしいものです。

さて、これらのパワハラ問題。
もちろん大半の方が
「それは良くない!」
と言われると思いますが、物事はそんな簡単ではありません。

それはなぜか?

「短期的にはパワハラ指導のほうが表面的な実績はあがりやすい」
という不都合な真実があるからなんです。

人間のモチベーションは
「期待(実現可能性)」×「価値(危機感+欲求)」
で発生するという考え方があります。

まっとうな「コーチング」を学んだ人は
「できるかもしれない、やれるかもしれない」
という期待(実現可能性)を高め、何のために(価値)を高める様々なアプローチを用い、クライエントのモチベーションを支えていきます。

ここで問題になるのが「危機感」。
「欲求」に基づくモチベーションの高め方のほうが長続きします。
やりたい!こうなりたい!
健全なモチベーションで心にも良い影響を与えます。
ただ、「指導者」という立場から、選手一人一人の欲求を高めるとなると、非常に難しく、指導者の人格、信頼関係、尊重、尊敬、憧れ、様々な要素が求められます。
それに対して「危機感」。
恐怖というのは人間にとって非常に強いモチベーションの源泉になってしまいます。
「やらなければ殺されるかもしれない」
「やらなければ居場所が無くなるかもしれない」
非常に強いパワーを持っているのです。

だから危機感を煽る指導のほうがモチベーションはあがりやすい。
一年一年の結果は出やすい。
これが不都合な真実なのです。

スポーツの世界は誰が何と言おうと
「結果が全て」
です。
結果が出なければ保護者は文句を言うし。
結果が出なければ選手は集まらないし。
結果が出なければ指導者は解雇されるし。
トーナメントの戦いでは勝ち上がることにより、強い敵と戦い成長し、より高い舞台を経験して更に成長できる。
リーグ戦だって上位に入れば昇格して更に強い敵と戦えて成長できる。

保護者の方で
「自分の子供の代はどうなっても良いから、2年3年の先を見据えてチーム作りをしてほしい」
と言える人はなかなかいないと思います。
親ですから。
それは仕方のないこと。

だから強さを求める。
勝利を求める。

チームと保護者のニーズが合わさり、簡単に勝利を手に入れやすい「恐怖を煽る指導」は無くならない。。。

誤解が無いように言いますが、危機感が全て悪いわけではありません。
健全な危機感、というのは大切なんです。
自分をあえて崖っぷちに追い込んで、自ら危機感を煽ってモチベーションを高める、という人もいます。

指導者と選手が危機感を共有できるチームはきっと良いチームなのでしょう。

恐怖を感じさせて支配する指導。
これだけは無くなってほしい。

そのためには、パワハラ指導のチームが勝てなくなること。
「コーチング」を学び、選手と心を通わせ信頼関係を築くことができる指導者が導くチームが優勝すること。
これが必要なのだと思います。

一朝一夕にはいかないことではありますが、
「スポーツコーチング」
が定着することを期待しています!

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