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血液検査の数値について -子どもの血球貪食症候群-


数値の深刻度を正確に受け止められない

自分自身は、幸いなことにこれまでの人生で大きな病気を患ったことがない。手術歴も入院歴もないし、精密検査も受けたことがない。

言いたいことは健康自慢ではなくて、「数値が異常」という経験が人生において圧倒的に足りていないということである。

現在、次女が直面している血液検査の数値の異常。
先に伝えておくが、正常値との乖離が著しい。

だが次女は一般病棟で生活をしているし、少なくとも表面上は入院前と比べて致命的に何かが変わってしまった印象は少ない。加えて、上述したような自分の病気経験の圧倒的な不足のため、この著しい乖離が本当にどれほど深刻なことなのかを肌感覚で理解することが難しい。

数値について

この前提を踏まえて、発症からここまでの次女の数値をざっくり記載したいと思う。

なお、ここで記載する正常値の数値は、あくまで次女が入院している病院で、次女の病状経過や年齢や性別等の個別差を含めた数値であるため、必ずしもこの正常値に収まっていない=誰にとっても異常とは限らない。体調などによって瞬間的に数値が悪くなることはあるし、人間は生き物であるから多少の変動はあるもの。ただ次女がいま向き合っている血液疾患において、これぐらいの数値が出ているということだけ共有しておきたい。

もう一度伝えておきたいが、次女は一般病棟で生活をしていて、少なくとも本日までICUなどに搬送されたこともない。基本的には食事も摂り、軽く院内を散歩したり本を読んだり、勉強さえもしている。

血球貪食症候群について(おさらい)

前回の記事(子どもが血球貪食症候群(HPSもしくはHLH)に罹っている話)で簡単に記載した通り、体内の免疫機能が異常をきたして血球(赤血球・白血球・血小板)を食べてしまい(貪食)、それにより血球減少・発熱・肝機能障害などの症状が出る結構重篤な病気。

具体的な症状はいくつかあるが、次女の場合は鼻血が止まらないから始まった入院生活で、当初は再生不良性貧血を疑われたぐらい血球の減少が著しい。また、鼻血の出る3週間ほど前にインフルエンザにかかって以来、ずっと微熱が続いていた状態で、この鼻血が出たタイミングで体温も再び上昇。その後もたびたび発熱している。入院2週間後ぐらいから肝機能の数値が上昇していて、そのときに受けた骨髄検査で貪食が発見された。

注視している血液検査の数値

現状、特に注視している=顕著に異常をきたしている数値は主に以下(表記は病院によって揺れがあると思うが、次女が入院している病院からいただいている数値表をそのまま参照)。

■血球関係

赤血球:主な役割は酸素をからだ中に運ぶこと
白血球:主な役割は体内に侵入する病原体の撃退
PLT(血小板):主な役割は止血機能

これらが少ないと、当然ながら生命活動に問題が生じる。赤血球の不足は酸素不足(貧血・頭痛など)、白血球の不足は免疫力の低下、PLTの不足は出血の頻発と止血の困難さを引き起こす。

■肝機能

AST:肝臓を構成する細胞である肝細胞のひとつ。アミノ酸の代謝に関わる役割を持つ
ALT:ASTと同じく、アミノ酸の代謝に関わる役割を持つ肝細胞のひとつ
LD:糖質をエネルギーに変える働きを持つ酵素のひとつ

この肝機能の数値は、肝機能の異常で細胞が破壊されることによって血液に漏れ出す。そのため、血液検査で数値が高いと肝臓で問題が発生しているサインになる。

■その他

フェリチン:鉄を体内に貯蔵するためのタンパク質

肝機能の数値と同様、破壊されることで血液に漏れ出すため、この数値が過剰に高いと各種の疾患や障害が疑われ、そこには血球貪食症候群もそこに含まれる

そして、次女の数値の要約が以下

■血球関係について

こちらは、血球貪食症候群だと数値が小さく出る指標

  • 赤血球:正常値と比較して約40-60%程度を推移。この1か月、定期的に輸血をしているにもかかわらず、正常値まで回復したことがない

  • 白血球:正常値と比較して約15-40%程度を推移。この1か月、定期的に輸血をしているにもかかわらず、正常値まで回復したことがない。ただしこの数値は、治療の過程でステロイドを使っている影響も考えられる

  • PLT(血小板):正常値と比較して約5-40%程度を推移。この1か月、定期的に輸血をしているにもかかわらず、正常値まで回復したことがない

最初、血小板の数値を見たときは0が1個足りないことにゾッとしたが、今では感覚が麻痺してしまっている。

■肝機能について

こちらは、血球貪食症候群だと数値が大きくなる指標。

  • AST:当初は正常値内だったものの入院2週間後あたりから上昇。正常値と比較して最大で14倍程度まで上昇し、その後は2.5倍〜6倍で推移していたものの、直近は1.3倍程度まで下がってきた

  • ALT:当初は正常値内だったものの入院2週間後あたりから上昇。正常値と比較して最大で15倍程度まで上昇し、その後は5倍〜7倍で推移していたものの、直近は3倍程度まで下がってきた

  • LD:当初は正常値内だったものの入院2週間後あたりから上昇。正常値と比較して最大で7倍程度まで上昇し、その後は3倍〜6倍で推移していたものの、直近は1.4倍程度まで下がってきた

■その他

フェリチン:入院2週間後、肝機能の数値上昇のころから本格的に取得開始。正常値と比較して最大で400倍程度まで上昇。直近は30〜40倍程度まで下がってきた

■発熱について

この1か月(もっと言えば、その3週間前にインフルエンザを発症して以来)、基本的に36度台に落ち着くことが稀。入院当初は37度前半〜38度台を行き来していたが、その後2週間では40度台になることもしばしば。解熱剤を投与されて37度台まで下がるものの、2日に1回は38度後半になる。
しかし、ここ1週間は解熱剤無しでも37度前半で安定してきた。


他にも悪い数値は散見されるが、特に顕著な数値を記載。

何度も伝えておきたいが、次女は一般病棟で生活をしている。基本的には入院生活を順調にこなしている。この数値の乖離に比して、状況は決して悲観的ではない。だからこそ、肌感覚で理解することが難しい。

数値の推移としては、入院後3週間程度は悪くなる一方だったのが、直近1週間程度で改善の傾向が見られている。もちろん、様々な薬を投与している結果であるので、本質的に改善されたのかは不明だし、いずれ薬の投与は減らしていかないと別の障害が発生するリスクはあるので、状況はまだ流動的ではある。

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