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脳内ゲームオブザイヤー アーカイブ '07

過去にプレイしたゲームの記憶とメモを頼りに、これまでの脳内ゲームオブザイヤーとそのライバルだったノミネート作について、思い出しながらまとめていっている。
今回は2007年。ゲームをし始めてから24年目、第24回脳内ゲームオブザイヤーを発表したい。

07年はハードは出てないが、ソフトは充実

新しいゲームハードは発売していない(はず)。モデルチェンジ機として「XBX360エリート」が出たくらいかな。
代わりにソフトは充実していた。PSPの代名詞といえるかもしれない「モンハンポータブル2nd(Gではないほう)」が発売。
DSは「レイトン教授」の1作目や、タッチパネルのみで操作するDS版ゼルダ「夢幻の砂時計」がリリース。
またWiiの躍進が目立った年で、どのご家庭にもあった(そしてどのご家庭も処分したであろう)「Wii Fit」が発売したほか、「マリオギャラクシー」や「スーパーペーパーマリオ」「ドラゴンクエストソード」などもリリースした。
PS2のソフトリリースは少なくなり、PS3は「みんなのGOLF5」や「ガンダム無双」などがヒットした。

ゲーム以外だと、安倍総理が体調不良で降板して福田総理になったほか原油が高騰してガソリンが1リットル150円越えするなどした。
明るい話題としては、iPS細胞の作製に成功。作者である山中氏はのちに(2012年に)ノーベル賞を受賞することとなる。
芸能・スポーツだとプロゴルフの石川遼がハニカミ王子として有名になったほか、IKKOさんの「どんだけー」やお笑い・小島よしおの「そんなの関係ねぇ」がブームになった。
ヒットソングはもうわかんないけど、この年にWindows用の合成音声ソフト「ボーカロイド・初音ミク」が発売している。

2007年 ノミネート作品

  • テトリスDS(DS)
    DS版のテトリス。操作が軽快でモードが充実、ネット対戦もできて、スキンにスーパーマリオのドット絵が使われていて遊んでいて気持ちが良かった。Switchのテトリス99に操作感覚が似てると思う。

  • 世界樹の迷宮(DS)
    ウィザードリィっぽいというか、古いパソコンのRPGを思わせる3Dダンジョン型のRPG。キャラは可愛らしいけど難易度は凶悪で、達成感を楽しみたい人向けの内容。DSと3DSでシリーズが6作くらい出た。

  • Wii Fit(Wii)
    バランスWiiボードという周辺機器とセットで発売したフィットネスソフト。恐ろしいくらい売れた。ミニゲームは慣れてくると結構楽しい。
    こいつの続編が「リングフィットアドベンチャー」だと言ってよいと思う。

  • デススマイルズ(ゲーセン)
    エスプガルーダや虫姫さまと同じ、ケイブ制作の弾幕シューティングゲーム。こちらは横スクロールで、前後から迫る敵を前ショット・後ろショットを使い分けて倒しながら進んでいく。
    キャラクターデザインは漫画家の井上 淳哉氏。…というか氏は漫画家になる前ケイブでグラフィッカーだったんだよね。グラフィックプレジデントとして招聘され、開発に参加したのだそう。
    一撃死ではなく(一応)ライフ制だったり、難易度の低いルートを選択できたりして、前半は思ったより簡単で爽快感もあるので弾幕ゲームの入門にいいかも。

  • トラブル☆ウィッチーズ(Windows)
    デススマイルズにハマった傍らで、PCの同人ゲームなどにも手を出していた時期だった。
    こちらも横スクロールで、魔女がほうきに乗って飛びながら戦う、お金を集めてショップでアイテムを飼ってパワーアップするという(どこかで見たような)スタイルのゲーム。
    魔法陣の中に入ると敵の玉が遅くなるなどユニークな要素もあって面白かった。人気があったのか、のちにXBOX Live Arcade版やゲーセン版がリリースされた。

受賞作品

第24回脳内ゲームオブザイヤーは…

世界樹の迷宮(DS)」です!
君はこれをプレイしてもいいし、しなくてもいい。

新規IP・オリジナルの新作RPGなんてもう、やらなくなって久しかったが、ウィザードリィを意識した大昔のパソコンゲームっぽい古風なつくりに非常にそそられて発売日に購入した。

起動した瞬間に、サウンドに魅了される。
「あの音」だ。FM音源。サウンドボード2(86音源でも可)の音だ。
作曲を担当したのは昔、日本ファルコムのゲームとかで多くの名曲を作曲した、PCゲーム界でブイブイ言わしてたレジェンド、私たち世代直撃の古代祐三氏。
しかもPC-88(たしかFHだかMAだか)でBGMを作成し、録音してDSで再生するという、現在は失われてしまった古の遺産(ルイン)を用いた制作スタイルで作られたらしい。
なんというこだわりぶり。おっさんパソゲーマーは1人残らず歓喜したことだろう。

ゲームのほうは、好みの容姿・職業の冒険者5名をキャラクリしてパーティを組ませ、難攻不落の"世界樹の迷宮"の最深部目指してアタックする。というもの。

一人称視点で3Dのダンジョンを一歩ずつ進んでいくスタイルのゲームだが、タッチペンで自分で地図を書いていく必要がある。書かないと道に迷ってしまう。
自分だけの地図を完成させろ!といった触れ込みで、「地図書き」が本作の売りの一つになっていた。
これが楽しいと感じるか、めんどくさいと感じるかで本作が向いているかどうかが分かれる。
すぐ死んでしまうゲームなので、少しでも生きる可能性を上げるために、少しでも多く、正確な情報を得なければ…!という使命感で地図を作る。筆者はキャラになりきって心底楽しむことができたが、一般ウケはしないかも…?

また本シリーズ、上記のように「地図書き」がメインフィーチャーの一つである性質上、シリーズ作品全部がDSおよび3DSで発売されており、他機種には移植されていない。
余談になるが一人称視点なので立体視との相性も悪くなく、DSの申し子みたいなゲームだといえる。

アトラスのRPGにしてはストーリー要素は薄味。
そして難易度が高いことが特徴だった。
いや、難易度が高いことを責めたいわけではない。難易度は高くていいのである。

本作「世界樹の迷宮」はRPGではあるが、天外魔境2などのようないわゆるJRPGではない。
本作において、ストーリーを見る・読むことはどちらかといえばサブの要素で、大きな目的とはならない。
解けないように作られた意地悪な迷宮の仕掛けや、クッソ強い中ボスをがんばって攻略していくことが目的のゲームだと言える。
ムービーを見て、会話イベントを見て、声優の芝居を聴いて、物語を楽しむ。…という、一般の人が「RPG」という単語から想像するようなゲームとは少しジャンルが違う感じだ。
戦略・作戦を練って、目の前の障害をいかにして打ち破るかを考え、トライし、その経過と達成感を楽しむ。
強力なボスに瞬殺されてしまうのを、知恵を絞りジョブやスキルを厳選して必死に突破する。
なんとなく決定ボタンを連打し「たたかう」を選ぶだけではザコにも勝てないことがある。
ザコ含め、だいたいの戦闘が全力なので(節約をしないので)すぐMPが無くなる。そうしたらいったん退却して街で回復し、また同じ場所まで潜って来る。
…これを繰り返していくうちに武器の素材が集まり、少しずつ装備が整い、少しずつ強くなり、少しずつ奥まで進めるようになっていく。

これだ。こういうRPGが私は好きなんだ。
ストーリーよりも「どこまで進めたか」で満足を得られるRPG。
シリーズものの続編でもなくウィザードリィのフォロワーゲームでもなく、完全新作のゲームでこのタイプは本当に久しぶりだった。

FF4や5は勿論好きだし、天外魔境2も感動したけど、大人になると(忙しかったり、金銭がらみの深刻な悩みごとが増えたり、子供の世話しなきゃいけなかったり、体力が落ちたり、まあいろいろな理由で)ゲームをガッツリ長時間遊ぶことが難しくなっていく。
なので、久しぶりにコンティニューしたときそれまでのストーリー忘れちゃってることがあるんだよね。
何をしてたか忘れてても、どこまで地図ができているかを見て、まだ地図の描けてない部分に進めばよいのだから都合が良い。

この「世界樹」は、ファイナルファンタジーのような誰でも楽しめる極上エンタメって感じではないし、購入者全員がエンディングを見ることのできるゲームでもないだろう。
プレイヤーキャラにデフォルトの名前もついていなくて、自分でかっこいい名前を考えて付けてあげなければならないし、声優によるCVもない(最近のナンバリングには冒険者の声あるけど)。
そういう意味では人を選ぶのかもしれない。

筆者は、誰でもエンディングまで行ける易しいRPGや、プレイの仕方・攻略方法が1パターンしかないもの、ボスの倒し方が決まっているRPGはあまり好きではない。

また筆者は、ゲームの"キャラクターに”夢中になることがあまりない。
キャラ設定やボイスが決まっている架空の人物に対して、この人推せるとか、声が素敵とか、あの台詞最高とか、あんまり思わないタイプだ。
(キャラクリで作成したオリキャラに対して、この場面でこいつはどんなことを話すだろう?と想像するのは好きだけど)

それよりも筆者は、戦略がたくさんあるのか?
選択肢はたくさんあるのか?
そこからどれを選んでも(難易度は差があっていいけど)自分が選んだ道で最後までいけるように作られてるか?
ということを重視したい。

自分の選択。
自分の決断。
自分の操作スキル。
自分の勝利。
自分の手柄。
そう感じられるRPGが、筆者は好きだ。
いってしまえばFF13は嫌いで、サガは好きだ。

決まった答えをなぞるだけなら映画観る方がいい。
ハリウッドの映画なら映像も超すげーし、2時間くらいで満足度かなり高いし。かかってる予算がケタ違いに高いのに、楽しむための値段はゲームより安い。

筆者はゲームに、「過程と結果を自分で決めれる」ことを求める。
ボタンが押せればいい、勝利と敗北があればいい…というわけでない。
とりうる行動・選択肢の中に、当たりもハズレも会心の当たりもやや当たりも、易しいもムズイも無数にあって、いくつも実行できることがある中から、自分で最適と思える解を考えて選ぶ。
そのすべてが異なるリアクションを起こすようにできているが、自分が見るのは選択したもののみとなる。
必ず最適ルートをたどるとは限らない。時に非効率な行為をしてしまったり、失敗することもあるだろう。
RPGのストーリーは、ゲーム内のシナリオやムービーだけではなくて、
試行錯誤しながらプレイした日々と、プレイしていた時の自分を含めて、ストーリーとして思い出せることが好ましい。

中ボス戦の開始直後。
多くのダメージを与えて速攻撃破してしまおう。と思い、レンジャーがいつも使っている「トリックステップ(敵の命中率ダウン)」のスキルを使わず、覚えたばかりの「ダブルショット」を使った。
ボスに傷を負わせはしたが、その代わりに敵の命中が高いままとなった。
結果、1ターン目の敵の攻撃で仲間のブシドーが死んだ。
2ターン目に蘇生アイテムを使うが、蘇生した直後のHPが低いところを狙われ何度も殺されてしまう。アイテム欄にある「ネクタル」はあと1個。次のターンで立て直せなければ、待っているのは”全滅”…!
…とか、そういうやつ。
こういうやり取りは開発者の描いたシナリオ台本に、セリフとして記載されてはいないけれど、これは自分が行動を選んだ結果起きたドラマだし、同じゲームをプレイしてる他の奴は、このドラマを味わっていないかも。
この部分に限っては、自分だけの物語かもしれない。

そういうのが味わえることこそが「ゲーム」だと筆者は思う。

世界樹の迷宮は様々な要素が「自分で決められる」ので、ムズくても、遊んでいてとても心地がよかった。

ちなみにシリーズ全作エンディングを見ているかと言われたらNoである。
どれもスクショは似ているけど内容はそれぞれ微妙に違っており、人により好みが分かれると思う。
筆者は1と2が特に好きだったけど、シリーズファンには4が人気あるみたい?

続編が出てほしいタイトルの一つであるが、しばらく新作の話を聞かないのと、3DS自体が終焉に向かっている状況なので、今後どうなるだろう。
スイッチで新作出たりしないかな。

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