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しなやかさを追いかけて 《Shihoさん》

 

 お風呂上がり、PCに向かって、この手紙の書き出しを探しています。
 きっかけは Shihoさん、あなたのnoteを読んだことでした。理想の自分とのギャップ、その乗り越えかたを探るのがテーマでしたね。
 第一印象では、ヘッダー画像とタイトルに大きなイメージギャップを感じたんです。でも、読み終えると全然そうではなくて、むしろすっきりしていて。
 自分のその思い違いがおもしろくて理由を考えているうちにね、あなたの自分との向き合いかたって、まっすぐでいいなぁって思ったんです。そして、あなたの考えかたを知って、わたしのように気持ちが楽になる人がきっといる、とも思いました。

 コメント欄には書ききれないから、記事にする。コメント欄でそう伝えたら「どんなふうでもいいので、気にせずに書いて」って言ってくれましたね。だから、この手紙を書いています。

 

 まずは、その思い違いの場面から、伝えてもいいかな。

 緑と白。
 春めいたヘッダー画像に、まず目をうばわれました。
 今にも滴りおちそうな雫が、射しこむ光を宿しています。幾重にも広がる大きな玉ボケには、希望が映し出されているかのようで。
 あなたの撮る写真は、いつもわたしをどこかへ連れ出してくれるのです。

 

 続いて目に入った「なりたい僕になる方法」というタイトルに、一瞬不安がよぎりました。“なりたい自分になる”って、大きくてむつかしいテーマだと思ったから。
 そして、このタイトルから、“なりたい自分”になれていない自分・・・を感じ取ったから。そのギャップに今この瞬間、あなたが苦しんでいるかもしれない・・・と、ずきんとしたのです。そんな余計な共感、しなくてもいいのにね。

 

 予感は、ある意味当たっているかもしれませんでした。
 あなたは、てっとり早い方法なんて存在しないという絶望的な答えに、たどり着いていたんです。

簡単になりたい僕になる方法は
きっと無いんだと思う
魔法の雫があればすぐにでも飲みたいけれど
そんなものはこの世の中には存在しない

 

 予感は、ある意味ハズレていました。
 あなたは簡単ではないけれど到達する道があることを、その出口に行きつく方法を、ちゃんと知っていたんです。

解決する方法を見つけたくなるんだけど
それはいつかの嫌な自分に出会いたくないからで
でもそこまでを含めて自分を認めてしまうことが出来たのなら
そこで諦めないで自分をちゃんと見つめることが出来たのなら
きっとその先に見えてくるものが必ずあって

 

 そして、こう結ぶのです。

時々そういうことを
口に出して 声に出して
自分に言い聞かせること
それが僕の唯一の『 なりたい僕になる方法 』なのかなと
思う今日この頃

 

❅ ❅ ❅

 

 あなたにとって、“なりたい僕”って、どんな“僕”なんでしょうね?
 あなたのそれは知りようもないけれど、きっと誰もがそれを持っているのでしょう。
 わたしも、もちろん持っている。まだ言語化できていないことも含めて、ね。

 

口に出して 声に出して
自分に言い聞かせること

 

 読んだとき、これだ!と思いました。
 あなたがこの部分を結びに持ってきたとおり、たいせつなところはきっとココなんだろうなって。

 

 すこし、わたしのことを書いてもいいですか? 実は、わたしも“なりたい自分”に悩まされることがあるんです。タイトルを読んだときに痛みを感じたのは、そのせいかもしれません。漠然とした“なりたい自分”に背を向けてしまうことがあるから。

 振り返ってみると、わたしにこの憧れのカタチをした亡霊が姿を現すときって、たいてい自分のタイミングでことが運んでいないんです。誰かのものさしでうっかり自分をはかってしまったり、目の前を走りぬけた誰かを追いかけて走っていたりね。肩がきゅっと縮こまって、呼吸が浅くなっている。

 自分のペースで走っていると、その亡霊は出てこないんですよね。きっとね、そういうときって、“なりたい自分”になれているんです。全然理想にはほど遠くても。“なりたい自分”に向かってひた走る瞬間の自分は、“なりたい自分”そのものだから。
 もう、なっている。

 もちろん充分にオトナだから、誰かのペースで無理して走るのがナンセンスだってことは、重々わかっているんです。はたから見れば、それ違うよって思えるもの。
 わかっているのに、うっかりすると他のランナーについていって、心拍数が上がってしまうし、そこで立ち止まって途方に暮れてしまう。
 だから、人生って厄介だし、おもしろい。

  

❅ ❅ ❅

 

 渦中にいるときは誰でも、その渦の中心に自分自身がいて、考えれば考えるほど巻かれて、水中に引きずりこまれてしまうんです。
 でも、あなたが書いた“声に出して自分に言い聞かせる”もうひとりの“僕”は、その渦のなかにはいなくって、渦に巻きこまれた自分を外から冷静に見ている。

 自分との対話には、もうひとりの“僕”との距離が必要ですよね。距離ゼロだと見えないから、最低でも鏡に映すくらいの距離が。あなたは、きっと溺れそうになっている自分を見つめて、“いつかの嫌な自分”も引っくるめて、その自分に“言い聞かせる”のでしょう。

 あぁ、今、僕はつらいんだなぁ。
 必死で、もがいてるんだなぁ。
 自分じゃないタイミングで、呼吸しているのかもしれないなぁ。
 思い出したくもないけど、あの時の自分も、そうだったのかも。
 アップダウンしてシーソーみたいだけど、今はそういう時期なのかも。

 もうひとりの自分が外側から見つめてよしよししてくれると、人って不思議なもので、そのぐるぐる渦から浮上してくるんですよね。

 あなたは、ちょっと距離をおいて自分自身を見つめている。自分との対話が出来ているからこそ、出口につながる道をこうやって書くことができるのでしょう。

 

❅ ❅ ❅

 

 以前もコメント欄で話したけれど、人は揺らぐ生き物で、上がったり下がったり揺れたりするバイオリズムは当然のこと。その幅はさまざまだけれど、きっと誰にでもある。

 でも、揺らいでも折れずに自力で立っているためには、自分を揺さぶるチカラの正体を知って、そのチカラを受け流したり、自力で立つためのパワーに変えたりする手立てがあるといいですよね。
 そのしなやかさを手に入れるために、ちょっと距離をおいて自分を俯瞰して、自分が今どういう状態なのか観察して、言語化する。

 自分自身との対話からその方法を見つけたあなたは、しなやかで、そして強い。
 わたしには、そう思えるのです。

 

 わたしの呼吸が浅くなってしまったときには、あなたの方法を試してみようと思います。
 考えるきっかけを、ありがとう。 

 

 以前、Shihoさんを紹介したnoteは、こちら。

 

 

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ここまで読んでくれたんですね! ありがとう!