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”名調子の語り”ってスゴイかも

「名調子の語り」を忘れかけていました。
淀川長治先生、水野晴郎さん、小森のおばちゃま、浜村淳さんの映画解説。
古舘伊知郎さんのプロレス実況。
杉本清さんの競馬実況 など。
独特のかたりが名調子と言われ、当時の僕の頭の中も「映画と淀川先生」「プロレスと古館さん」…というセットがあったのですが、いつのまにか、語り手さんを介さなくても自分で選ぶ、見るようになったからか、そのセットを忘れかけていました。

もしかしたら若い人は「名調子(めいちょうし)」って知らないかもしれませんね、コトバンクではこう書いてあります。

その人独特の、みごとな語り口。また、調子にのった話し方。「得意の名調子で聴衆を酔わせる」コトバンクより

先日、第12回なかのぶジャズフェスティバルへ行き日本のジャズレジェンドの方々の音を楽しませていただきました。僕自身、3回目なのですが4時間という長時間にもかかわらずライトに聴くことができ、普段ジャズを聞かない私の奥さんも「いいね」と言うのでなかなかいいジャズイベントじゃないかと思っています。「どうしていいイベントなんだろう?」その理由の一つが今回わかった気がしたので書いておこうと思います。

このフェスには、まきいわ・まさおさんという司会者がいらっしゃって、ほぼ1曲終わる毎に登場し、次のメンバー、次の曲紹介をしてくださいます。

「ドラムス、小山太郎! ベース、井上陽介! ピアノ、野本晴美! アルトサックス、土岐英史!… スタン・ゲッツが最初に吹き込んで日の目を浴びたスウェーデンのトラディショナルナンバーです。ディア・オールド・ストックホルム!」

こんな感じを、独特の節回し、まきいわ節で語られます。
ほぼ1曲毎と言った通り、曲と曲の間にはまきいわさんの”語り”がはいるわけです。体験されていない方は「曲が続いた方がいいのに」と思われるかもしれませんが、なかのぶジャズフェスティバルはまきいわさんの”か語り”があったほうがいいのです。

実は、まきいわさんの”名調子”をボクは30年以上前に耳にしていました。NHK=FMの「セッション」というラジオのジャズ番組のMCがまきいわさんで、当時から「ピアノ!○○○○ー!・・・」というメンバー紹介、曲紹介を聴いていたんです。3年前なかのぶジャズフェスティバルで聞いた時に「あー、あの名調子だー」と思い出せたということは、ジャズとまきいわさんの語り音がセットで耳にセーブされていたみたいです。

ラジオ番組「ありがとう浜村淳です」を聴いたことがある人の多くが、浜村淳さんの「さて、みなさん聞いてください」という一言を聞くと無意識に頭で映画解説をインプットする準備をするんじゃないかと思うんです。まきいわさんの司会とジャズもそれと同じ、「ピアノ!○○○○ー!・・・」て聴くとジャズを聴く準備ができるので演奏がはじまると楽しめる、こういう効果が名調子にはある、と思うです。そう考えると、1曲毎に登場するまきいわさんの語りがあることで次の曲をいい感じに聴くことができ20曲近い演奏もライトに楽しめる、だからジャズ初心者でも楽しめる。なかのぶジャズフェスティバルはこんなシステムじゃないかと考えました。

いつのまにか存在感がうすくなっているように感じるんですが「音とリズムと言葉」がいっしょになった”名調子の語り”は、コンテンツとのつながりをつくるいいツールだ、なんて考えたのでした。


6:55辺りから「メンバーを紹介しましょう!」とまきいわさんの名調子が聴けます。




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