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Backstage Memories

コンサートホールの ざわめく声が 
閉じた幕の向こうから 聞こえてきます
最後のチューニング 張り詰めた空気が 
ひとつの音で 震えています

たった2時間足らずの 小さなコンサート 
新聞にも載らない 名もないコンサート
だけどかけがえのないあなたのコンサート 
だけどかけがえのない私のコンサート

忘れない いつまでも あなたの この音を
時が流れ 風が吹き 人が行き過ぎても
忘れないで いつまでも 私の この音を
繰り返す 繰り返す Backstage Memories

坂の上のキャンパス 新入生の春 
ひとりぼっち 歩いてた私の細い肩
叩いた手のひら とても大きくて 
静かにプレリュード すべり始めました

夕暮れのバス停 部活の帰り道 
照れ臭くて 離れて 並んだ列の中
にぎやかな笑い声 砂ぼこり 汗の匂い 
おだやかに流れてた夏の日のラプソディー

忘れない いつまでも あなたの この音を
時が流れ 風が吹き 人が行き過ぎても
忘れないで いつまでも 私の この音を
繰り返す 繰り返す Backstage Memories

忙しい毎日 宿題の山の中 
ボロボロになるまで 使い込んだdictionary
楽しい時間はいつも 瞬く間に過ぎて 
気がつくとテストが ほら目の前に来てた

苦労して作った ミュージカルの大道具 
夢にまで出てきた台詞とあのメロディー
華やかなステージの後 なぜか妙に切なくて 
星空 見上げながら口笛吹きました

忘れない いつまでも あなたの この音を
時が流れ 風が吹き 人が行き過ぎても
忘れないで いつまでも 私の この音を
繰り返す 繰り返す Backstage Memories

 いっぱい いっぱい 教えてほしいことや
 いっぱい いっぱい 話したいことを
 いっぱい いっぱい 残したままで

ラストのエンディング ペットのファンファーレ 
ティンパニのロールに 舞台も震えます
アンコールの拍手は あたたかい音で
あなたの最後の ステージ包みます

いつでも ここへ 帰ってきてください
あなたが靴を脱ぐ場所を いつもあけておくから
今夜を 私たちの フィナーレにしたくない
ここから 新しい イントロ始めたい

忘れない いつまでも あなたの この音を
時が流れ 風が吹き 人が行き過ぎても
忘れないで いつまでも 私の この音を
繰り返す 繰り返す Backstage Memories

*大学の応援団つながりで、吹奏楽部の「卒部ソング」を作ってほしい、という後輩からの依頼を受けて作った歌です。もともとの歌詞には「学園祭」「打ち上げコンパ」「二日酔い」などの「大学ネタ」を盛り込んでいましたが、それを高校向けに作り直したバージョンです。自分の曲のリライティング、というと何だか格好良く聞こえますが、昔の曲の使い回し、というと何だか安易に聞こえてしまいますね。モノは言いようです。
 先輩の卒業を見送った後輩たちも、やがては先輩として後輩たちに見送られて巣立っていきます。卒業の季節になると、あちらこちらで繰り返される風景。誰もが一度は主役になる卒業シーズンは、多くの歌が生まれる季節でもあります。万葉集が現代に編纂されたとしたら、「相聞(恋愛)」や「挽歌(追悼歌)」や「羈旅(旅の歌)」などの古代歌集のカテゴリーに加えて、「卒業」の巻が追加されるかもしれませんね。

*こちらにオリジナルバージョンの方もアップしておきますので、聴き比べてお楽しみ下さい。


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