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小説

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小説を書いています。 読んでくださるみなさんが、どこか懐かしい感覚の蘇る作品になれば嬉しいです✨ 主に中編小説で続きものになります。 是非読んでみてね☺️
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【最終話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

【最終話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

(15)五反田駅東口ロータリーpm9:38 終焉

店はオープンからずっと暇だった
3人組の男性客が1組
サラリーマンではなく有楽街で幅をきかせている
ヤクザたちだった
暴れたり暴言を吐いたりはしない
言葉は荒っぽいが
場の雰囲気を読んで普通に飲んでいるようだった

カーテンで仕切られた
女の子が3人入ると満員になる小さな更衣室
ハンガーラックにかけられた50着ほどのドレス
壁に取り付けられた鏡

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【第6話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

【第6話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

(14)中延商店街 pm3:00 追憶

〝ケンタロウ〟は怪我が治るまで
しばらくは家でじっとしていた
毎日同じ時間に目を覚まし
ダイニングテーブルでウェルチを飲む
全開にした彼の部屋の窓から見える
風に揺れる深緑の木々の葉を静かに眺めていた

ある日
〝ケンタロウ〟が買い物に行きたいと言い出した
【新しい服がほしい】と

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【第5話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

【第5話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

(12)五反田有楽街am4:00 崩壊

明け方〝ケンタロウ〟からの着信

めったに電話なんてしてこないのに珍しい
タイミングが悪く2度取れず
3度目の電話に出た

『出れなくてごめんね。どしたの?』 

『〝とーご〟が』

『〝とーご〟が何? どうしたの?』

『捕まった』

『え…!?』

『家に警察来ててバタバタしてるから店終わったら
   しばらく店にいるかどこかで時間潰せる?』

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すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

その後2度と
【寺子屋】に行くことはなかった

あの日の思い出と後悔は
私の中で粗く優しく記憶に残っている
老いて
朽ち果てて行くまで

色あせないで
私を飽きさせないで
永遠に残る

(10)目黒川沿いpm8:00 ガラスの人形

【寺子屋】を出た私たちは
またタクシーに乗り込み今度は五反田に向かった
連れて行きたい場所がまだあるんだそう

『次どこ行くの?』
『五反田』
『電車って乗らないの

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【第3話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

【第3話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

(8)裸の札束 pm3:00 【寺子屋】と〝ケンタロウ〟

〝ケンタロウ〟の部屋のドアは
いつも大きく開いている
ダイニングキッチンから彼の部屋の中は
いつも丸見えだった
だからキッチンで料理をしていても
食堂で食事をしていても
部屋の中にいる彼と話ができた

〝ケンタロウ〟はいつも昼頃に起きて
毎朝おきまりのウェルチを飲んで
外の景色を眺め
スエットとTシャツと草履で出かけていく

同僚のは

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【第2話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

【第2話】すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

(5)戸越公園am7:00

『降りるよ』

タクシーを降りて
古びた銭湯の角を曲がると
真新しいマンションがある。

二階建ての世帯数は多くなさそうな
入り口に屋根のない駐車場が付いている
綺麗なマンションだった。

『お邪魔します』

部屋に入るとダイニングキッチン
そこに1人のスーツの男性が立っていた

『お帰り』
『ただいま』
『誰?』
『カノジョ』
『ちょっと!』
『ごめん嘘。笑』

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すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。

(1)新宿バスターミナルam6:00

早朝の新宿
寒くて霧がかってて
見上げると高層ビルの上の方は
      白く天辺の方は見えなかった

霞んだ蛍光灯の白い光が見えて
ひとつだけ開いていた新宿駅南口の
大きな時計が目印のファーストフード店
コーラをひとつ注文して2階へ

テーブルに頬杖つくと
いつの間にか眠ってしまっていた。

目が覚めたらam11:00

かなりザワザワして

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