13年目のW11-逆風に立ち向かう中国Eコマース大型キャンペーンの今を語る-前編
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13年目のW11-逆風に立ち向かう中国Eコマース大型キャンペーンの今を語る-前編

水野潤二|Junji Mizuno

中国ないし世界最大なECキャンペーン「W11」。今年は、「W11不要論」「W11マンネリ論」が蔓延し、「反消費主義」の波に大きく叩かれ、様々な逆風が起きている一方、「米中貿易戦」の国際的な背景における中国では、W11による国内消費への刺激も欠かせるものではないというジレンマ。その実態を語ります。

■はじめに・2021年W11の数字ハイライト

<アリババ社>
・累計GMV5,403億元(約9.6兆円) 前年比8%増
・開始1時間で、2600のブランドが去年1日の売上額を達成
・初日1.4万回のライブを放送
・TOP2のライバーのライブコマースが220億元(4,000億)を突破
・29万店舗がW11に参加し、新店舗及び中小ブランドが65%
・2.9万個の海外ブランドが参加
・消費者の45%がZ世帯とミレニアム世代。前年比25%増

<JD社>
・累計GMV3,491億元(約6.2兆円) 前年比29%増
・31のブランドが10億元(1,785億円)以上の売上を達成
・Appleが100億元(1.78兆円)突破

■2021年中国EC社会環境の変化

・巨大プラットフォームの独占禁止を厳しく取り締まる一年となり、出店企業に強いられてきた「二者択一」問題が解消され、長年双互リンクができないアリババ系とテンセント系の各種サービスもリンク解禁の兆しが現れた。
・習近平政権が提唱する「共同富裕」の方針に従い、過度な消費刺激が問題視され、企業の社会的責任が大きく問われる風潮となった。
※「二者択一」問題:アリババとJD2大ECプラットフォームが競争のために、一方のプラットフォームに出店やW11参加する場合、もう一方のプラットフォームから撤退すると出店企業に強いられる条約が問題となっている。

■注目すべきポイント①:店舗のライブ化・ライブの店舗化

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ここ数年間中国人のメディア視聴習慣が写真や文字から動画・ライブへと大きく変化。特に去年からライブを主軸とした抖音(Tiktok)のEC参戦と対抗するためにアリババやJD各社もライブに更に注力。従来のECショップのライブコマース化が進んでおり、店員による長時間ライブ放送が多数の店舗の日常となり、24時間ライブや、AI店員によるライブ等、店舗接客自体がライブコマースと融合しつつある。

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一方、有名なライバーやKOLインフルエンサーがライブで人気を集めた後に、生産や流通領域にも入り、店舗運営や独占ブランド自社ブランドの開発し、自身の店舗化が進んでいる。ライブの構成の豊富、ライバーの個人魅力はもちろん企業ブランド、サプライヤーチェンの整備や商談力などのチーム力で勝負する時代となる。

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※NO1ライバーのオースティン・リーは無数の有名企業とのオファー・値段交渉の会議の模様をバラエティ番組化し、話題を呼んだ。

■考察コラム・ECにおける「去中心化」と「中心化」の争い

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ソーシャルネットワーク及びライブコマースの成長により、特定なプラットフォームに依存せず、人・コンテンツ・ファンコミュニティで成り立つ分散型の「ソーシャルコマース」が近年高速に発展する一方、企業との仕入れ価格の交渉権やサプライチェーンのコントロールに優れる上位のKOLに
ユーザーの大多数の買い物時間と売上を寡占され、このようなKOLも巨大プラットフォーム側から大量のトラフィックや広告の資源が提供されることで、一点集中のプラットフォーム影響力もますます強まる。ライブコマースがもたらす功罪はいまだに断定しづらいが、この二つの傾向による力で今後数年の中国コマース状況が左右されるだろう。

■注目すべきポイント②:買い物カートのソーシャル遊び

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ここ数年ECにおいて常に最も重要なポイントの一つである「ソーシャルとの連携」に関して、今年アリババは「買い物カート丸ごとシェアすることで、カート内商品が全部無料になる」施策を打ち出し、話題になった。
一般人はもちろん、タレントや有名人も自分の買い物カートをシェアし、キャンペーンに参加した。

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<後編に続く>


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水野潤二|Junji Mizuno
中国出身|東京大学大学院卒|総合広告代理店勤務 |広告|Eコマース|マーケティング|越境EC|日本と中国