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ダイエットや承認欲求との向き合い方を考える 磯野真穂さんトークイベント

文化人類学者の磯野真穂さんが『ダイエット幻想 やせること、愛されること』を上梓したのを記念したトークイベントが開かれました。わたしは聞き手役でご一緒することに。そのようすをlogmiさんが余すことなく記事にしてくださいました

でもこのイベント、めちゃ濃厚なんです。笑

記事内容の確認メールが来たとき、「分量が通常のイベントの2倍ありまして、確認にもお時間かかってしまうと思うのですが……」という丁寧なご連絡を頂きました。しゃべりすぎてすみません……汗

というわけで、それぞれの記事で話題になっているポイントをご紹介します。「おっ」と思ったところ、ぜひこの年末年始、お時間あるときに読んで頂ければ幸いです。

①イベント開催の理由 哲学者宮野さんとの「ダヴルノマ」

初回は、なぜこのイベントが開かれることになったのかという経緯や、哲学者・宮野真生子さんとの関わりを紹介します。
あとは「20秒で終わらせてください」など、基本的に磯野さんに塩対応されている水野の様子がうかがえます。

②老若男女「やせたい」「食べたい」との矛盾でつらい

「やせたい」という思いはすでに老若男女が持っているもの、と問題提起するパート。中高年男性では「メタボ」や「糖質制限」の果たした役割が大きいと指摘しています。

③数字の持つ「力」とダイエットの関わり

このパートは、数字を持たない民族「ピダハン」の暮らし方・考え方をもとに、「数字の持つ力」について知っていきます。
この「数字の力」がダイエットに果たす役割もとても大きいと思うのです。

④若年女性のBMI、戦後よりも低い…行き過ぎでは?

若い女の子へ発せられている社会からの「やせなきゃ」というプレッシャーについて考えを深めます。
戦後よりも低い、いまの女性のBMI……。シンデレラ体重や美容体重に言及しながら、女性同士が「やせ」を競ってしまうことについても考えます。

⑤承認欲求には「量」と「質」がある SNSは…?

承認欲求は誰しも「ある」もの。その前提で考えていくパートです。
でも、ダイエットの成果やSNSの「いいね」などは、「量的」な承認欲求の満たし方では? 本当にほしいのは「質的な承認欲求」かもしれません

⑥タグ付けの関係と踏み跡を刻む関係、どう出合えばいい?

店員と客、先生と生徒、のように普段は「タグ付けしあう関係」で生きている私たち。でもそこからズレていって、そのズレを面白がれる人とは、もしかしたら「踏み跡を刻む関係」をつくりあげていけるかもしれない。
磯野さんはそれを「ラインを描く」と呼びます。

⑦質問タイム 自分の「やせたい」をあおる社会のシステムを知っておこう

自分にビルトインされた「やせたい」を外せないという質問が……。磯野さんは、確かに「やせたい」を外すことは出来ないけれど、資本主義社会がその「やせたい」を煽っていることは知っておこう、提案します。
さらにダヴルノマの往復書簡『急に具合が悪くなる』で衝撃を受けた方からの質問もありました。
ちなみに:『急に具合が悪くなる』とうんうん言いながら向き合った水野のnoteはこちら↓

⑧『愛すること』を『愛され』から取り戻せ。分断より連帯を

ラストは、宮野さんが最後の講義で学生に伝えた言葉を磯野さんが紹介します。

愛され、承認を求めるとき、私たちは自分という存在を部分化し、切り売りすることになる」。
これはあまりに他者から愛されたり、承認されたりしようとしてしまうと、結果的にマニュアルに落ちていってしまうとか、あるいは、他者の目線ばかりを気にしてしまって動くことができなくなるというメッセージですね。
しかし、誰かを愛することは部分ではなく全体へのコミットではないか。『愛すること』を『愛され』から取り戻せ。分断より連帯を

「『愛すること』を『愛され』から取り戻せ。分断より連帯を」。とても胸に刺さった言葉でした。

わたし自身、とても学びになったイベントでした。磯野さん、素敵な場をセットしてくださった神楽坂モノガタリの久禮さん、お越し下さった皆様、本当にありがとうございました。

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