見出し画像

今年もまた、FNS27時間テレビが無い夏がやってきてしまう

前略、フジテレビ様。


でしょうね、と言うべきでしょうか。

フジテレビの夏の恒例行事「FNS27時間テレビ」が、2020年に続き、今年もコロナウイルスの影響を鑑みて放送中止となりました。コロナだからしょうがないねー。という思いがある一方で、そろそろ私の中には「もう2度とFNS27時間テレビは戻ってこないのでは?」という疑念も沸きつつあって、2度目の中止と聞いた時には「もう駄目かもしれないな」というところまで考えてしまいました。

フジテレビ様、本当に今年の27時間テレビ、やるかどうか真剣に議論されたんでしょうか?もう、放送しないことが前提になっていないでしょうか?


私が小学生の頃は、フジテレビの人気絶頂期でした。なんなら月曜から金曜まで毎晩テレビはフジテレビを付けていて、フジテレビを見ないと学校での会話についていけないぐらい、どこもかしこも超人気番組が並んでいました。「めちゃ×2イケてるッ‼」「はねるのトびら」「クイズヘキサゴンⅡ」「ザ・ベストハウス123」。番組名が眩しいと感じたのは初めてです。フジテレビは、確かにあの頃眩しく輝いていましたね。


その中でも、私はFNS27時間テレビが好きでした。

7月末、土曜日の蒸し暑い夕方。晩御飯を食べながら華やかなオープニングを見て、そっからだらだら見てたら23時ぐらいになって強制的に寝かされて、今年も「さんま中居の今夜も眠れない」を見ることが出来なかった・・・とか思いながら、日曜日の朝を迎える。そして、朝のFNS系列対抗企画から恒例の「笑っていいとも」のSP、15時過ぎの競馬中継の頃には若干飽きてきて、そんでもってサザエさんスペシャルでまた熱気が戻ってきて。グランドフィナーレはそれはそれは華やかでしたよ。

ずーっと見てたもんだから、その日やらなきゃいけない夏休みの宿題をほったらかしにして親に怒られたこともあるぐらいです。でも、そんなことよりテレビにかじりついていたかった。このお祭りを見ないと損だ!っていう気持ちが、どこかにありました。

そう、なんてったって、昨日の夜テレビで観た人たちが今日の夜になってもまだ同じ番組をやっているって、すごいことだと思いませんか?この特別感が味わいたくて、27時間テレビを毎年楽しみにしていました。


長い歴史を重ねる27時間テレビの中でも、特に好きな放送回が2つあります。2008年の明石家さんまさんが総合司会を務めた「みんな笑顔のひょうきん夢列島‼」。そして、2011年のナインティナイン&中居正広さんの「めちゃ×2デジってる‼」。この2つは今でも私の脳内にしっかりと焼き付いて離れません。

思えば、この2つの回はとても対照的でした。2008年はさんまさんというひとりの「人物」を中心に、名だたるお笑い芸人たちが大立ち回りを見せる本気のお笑い祭り。2011年は「めちゃ×2イケてるッ‼」という「番組」を中心に、東日本大震災で傷ついた日本中に笑顔を届けるスペシャルプログラム。

でも、どちらも共通して言えるのは、「あの全盛期のフジテレビの力量があってこその番組だった」ということです。

今、フジテレビに27時間を引っ張れるほどパワーのある番組があるでしょうか?誰がフジテレビを代表して27時間を引っ張ってくれるというのでしょうか?私には、適任者が思い浮かびません。唯一、さんまさんならできる!とは思いますが、さんまさんが27時間をやる時は恐らく「27時間が終わる」か「さんまさんが引退する」かのどっちかだと思っていますから、しばらくは実現しないでしょう。


2019年。一番最後に放送された27時間テレビからもう2年。あんなにワクワクした夏は、もう帰ってこないのかもしれないと思うと悲しい。悲しいという単純な言葉では言い表せないぐらいに悲しいです。

なんでしょうね。きっと、いまの視聴者は、いまのテレビに「意味」を求めすぎているような気がします。意味がない・中身が無い・配慮がないの「3ない」は徹底的に嫌われ、生活の知恵とか世界の動向とか暮らしを彩る情報とか、役立つ何かが一方的に歓迎される。とにかく「意味のないテレビはテレビにあらず」みたいな世論を感じます。

でも、FNS27時間テレビに深い意味はありませんでしたね。毎年、絆とか笑顔とか、大きな括りでの「テーマ」はありましたけど、何かのために頑張ろうとか何かを成し遂げようということは決してしませんでした。その根っこにあるのは「とにかく笑わせてやる」という心意気でしたね。めんどくさいことは置いといて、この1日だけずーっと笑いっぱなしでただただ過ごしてほしい。そこが、チャリティという大義名分のある「24時間テレビ」とは一線を画すところでした。


真夏の、27時間ぶっ通しの、お笑い祭り。それは、あの頃のテレビが「見るだけでただただ笑える魔訶不思議なおもちゃ箱」だったことの、紛れもない証なのかもしれません。


日ごとに暑さが増してきますね。

私は今年も、YouTubeに残る貴重な「あの頃のFNS27時間テレビ」を味わいながら、この夏を乗り切ろうと思います。どうかフジテレビさまもご自愛ください。そして「意味のある」テレビを作ろうと、必死でもがき苦しんでください。復活の日は、まだ遠そうですが。



おわり。

#手紙 #エッセイ #フジテレビ #テレビ #バラエティ #感想文