ヒゲダンの新曲「Cry Baby」を個人的三大”どうして”な曲に認定したい話
2021年5月7日から各配信サイト・ストリーミングサービスで解禁されたOfficial髭男dismの新曲「Cry Baby」。ヒゲダン自身が「問題作」と言い切っちゃうぐらいにダーク方向に振り切った曲で、
瑞野的には、「こういうヒゲダンが欲しい!」という切なる願いがようやく実現したという印象があります。
というのも、「Pretender」のメガトン級のヒット以来「ラブソングメインの新感覚・爽やか・全員髭が生えてない系バンド」として若者から絶大な支持を集めていた一方、彼らの秘めたる「ダークなパワー」に気付くのはコアなヒゲダンファンぐらいで、彼らの爽やか以外の要素にはなかなかフィーチャーされませんでした。瑞野もその点がものすごく気になっていて、個人的にはそろそろ熱くて泥臭い男の唄が欲しかったのです。
そこにこの「Cry Baby」。ダーク全開なヒゲダンに撃ち抜かれました。最高でした。で、しっかりドはまりしてエンドレスリピートで聴いていたら、この曲に出てくるあるフレーズが耳から離れなくなりました。
というわけで、ここに瑞野蒼人の主観を大いに交え、瑞野蒼人が個人的に選んだ「日本三大”どうして”な曲」な曲を認定いたします。ではその栄えある三曲をさっそくご紹介いたしましょう。
①サカナクション「アイデンティティ」
どーうしてぇーーーーーーーーえーーーー!!!!!
へぇーーーーーーぁ!!!!!!!
Google検索したら「どうして」だけで出てくる曲。もはや説明不要なサカナクションの代表曲。好きな服とか物とかそういう者で他者を図る自分だけど、じゃあそういう自分はなにか他人に左右されないような確固たる志向はあるのかい?ないよな?なんでだ?なんでそうなったんだ?どうしてーーーーーーー!?!?!?!?!
な曲です。
②DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」
ねぇどぉーーーしてぇーーーーー・・・・
こちらも言わずと知れたバンド「DREAMS COME TRUE」の名曲。なんで素直にスキって言えないんだろう?こんなにあなたのことスキなのに・・・っていう曲ですね。考察の余地なく、ストレートなラブソングです。ていうかこの記事を書くために久々にドリカムさん聞いたけど、やっぱり日本の歌姫は吉田美和さん一択だと思うのよ瑞野は。
③Official髭男dism「Cry Baby」
で、今回の主役がやっと登場です。ヒゲダンです。
ヒゲダンが作るロックナンバーの完成度の高さを評価する声は、実は以前からもありました。2018年「ノーダウト」のスマッシュヒット後に発表された「FIRE GROUND」は、高校相撲部を舞台にしたアニメ「火ノ丸相撲」の主題歌でした。泥臭く熱い男のぶつかり合いである相撲のバトル性を意識し、巧みな歌詞の構成と燃え上がるようなメロディーラインでアニメの世界観と融合したこのロックナンバーは、今ではライブの定番曲となり熱狂的なヒゲダンファンから厚い支持を受ける作品となっています。
今作「Cry Baby」も、アニメ「東京リベンジャーズ」とのタイアップ曲であるため、作品との調和は抜群に取れています。さらに、今年1月に発表された「Universe」が「映画ドラえもん」の主題歌であることを考慮すると、ヒゲダンの守備範囲がいかに広いことを証明するための曲だなとも感じます。
振り切ったロックナンバーでありながら、1番いっぱいはオープニングで使いやすいように綺麗にストーリーがにまとまっています。ここだけ聞いても、型破りな転調の連続とヒゲダン節全開のメロディーラインで、まさにアニメの本筋を突いたえげつない曲ですね。さすが「平成にミスチルあり、令和にヒゲダンあり」と言われるほどのタイアップソングメーカーなだけあります。
が、2番に入るとそれが一気に不穏な空気に入ってくる。
相手が何であれ日和らない 何度伸ばされても諦めない 忘れるな忘れるなと言い聞かせ続けたのに
という歌詞の後に、
やり直して しくじって 踏み倒して 肩落として
のコーラスを背にしながら
どーうしてーーーー・・・
どおーうしてぇーーーー・・・・
どおーーしてぇーーーー・・・・
どおーーーーしてぇーーーーーーーーーーーーぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!
もうなんつーかこう、一言で表すと、自責の念炸裂‼なことになってしまうのである。その後の間奏はまるでRPGで主人公が死んでゲームオーバーになった時に流れる音楽のようで、後悔の泥沼にズブズブです。
「喧嘩両成敗」という言葉があるが、筋金入りの不良たちにそんな陳腐生温いフレーズは通用しないでしょう。喧嘩する限り、立つか倒れるか、殴るか殴られるか、極端なところ「生きるか死ぬか」。必ず、勝者と敗者がくっきりと分かれてしまいます。
この曲の一番が、ボロボロに打ちのめされ敗者というレッテルを貼られた瞬間から立ち上がる「再起」を歌っているとすれば、二番は、あれほどに自分の心に負けねぇ負けねぇと楔を打ち付けていたにも関わらず強烈に敗北を喫した「挫折」を歌う。普通なら「挫折」→「再起」という順で描くはずなのに、それをあえて逆転させている所、「東京リベンジャーズ」の重要な要素である「タイムリープ」を意識しているのか?と個人的には感じました。
そう考えると、このリフレインされる「どうして?」が、「Cry Baby」のひとつの核になっているというのは間違いないと思います。
この曲に唯一問題があるとすれば、それはカラオケでこの「どうして」もしっかり歌って喉が爆死する人が多数発生することが余裕で予知できることでしょうか。
というわけで、「瑞野蒼人が個人的に選んだ日本三大”どうして”な曲」をご紹介しました。みなさんもぜひ、理不尽なことがあったときに「どうして・・・」と思ったらこの曲たちを歌って、どうして・・・どうして・・・とやるせない感情を爆発させてください。
てか実質、これ・・・
「Cry Baby」のレビューじゃん・・・
おわり。