【嫌いなアイツとゾンビと俺と】第3話
エレベーターホームの方を見ると、フラフラと白いシャツが汚れた男が歩いてくるところで、足取りがおぼつかないのが分かる。それを見て取った、女性が声を上げたようだった。隣にいた、同じ指輪を薬指に嵌めている青年が、慌てたように男に歩みよる。
そして歩樹が見ている前で、男を支えた。周囲の視線もそちらに集中している。
――その瞬間だった。
大きく口を開けた男が、青年の首元に噛みついた。
何が起こったのか、歩樹には分からなかった。それから男が口を離すと、無言になった青年が、