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【詩のようなもの6編】夏の一端~7月上旬


【夏の一端~7月上旬】

新しいアニメやドラマを観る
窓を開けたまま寝る日が続く

遠くの花火の音で起きる
蚊に刺されたところが赤く

冷たいもの食べて寒くなって
熱いもの食べて汗かいて
夏が来たと言う

恋愛はめんどくさい
仕事はもっとめんどくさい
冷んやりした抱き枕が気持ちいい

紫外線が強くなる前の
人のいない早朝の散歩
薄い空とぬるい風

いつもの僕の夏が始まっている

【ロマン飛行する前は】

破滅的思考
今日に夢見心地
手を取り合って
永遠を胸の中に

物語思考
明日は明日の風が吹く
思い出は美しく並ぶ
結末ありきの過程

ロマン飛行する前は
傘代わりになるものを
努努 お忘れなきよう

【遠と怨と縁】

幽遠無縁

人と同基準で
誰かに従順にはなれない

宿怨離縁

打ち上がる前の花火
点かず始まらずおしまい

合縁奇縁

欲さないことから始まって
思慕の膨らみ ささやかな微笑み

【縷言】

あっという間に過ぎる今日の日
杭のような悔いだよ

雪解けを目指して
大切にしたいこと
事細かに話すよ
小雨決行だよ

空虚は少しずつ雲烟飛動
月に祈りたいこと
事細かに焚べるよ

四季の隙間に話し忘れた一言
細かく刻んで君に言うよ

【慙愧と根】

気持ち悪いね
恥ずかしいね
痛々しいね
情けないね

避けて隠そうとしながら
曝け出す僕の詩のようなもの

八面六臂 右往左往
昨日言ったこと書いたこと
まるっきり真逆の位置に
飛んでは撥ねていじけて
また通り過ぎる今日

気持ち悪いね
恥ずかしいね
痛々しいね
情けないね

何処まで行っても
僕は惨めでちっぽけで
くだらない存在に変わりない

転けて焦げて丸めて
燃えるゴミ行きのナルシズム
なのに書いては消してまだ書いて
ノートの一端に記す
詩のようなもの

【懐かしい証】

もうすぐ家に帰るよ
ショートカットした道
月に照らされて

虫の鳴き声に重ねる鼻唄
ひとりでいることに慣れた証

いつもの僕に戻るよ
大切なもの手放した後
また取り戻して

犬の鳴き声に重ねる鼻唄
誰かといたことが懐かしい証



最後まで読んでくれてありがとうございました。

3つ目の詩のようなものの「幽遠無縁」「宿怨離縁」は造語の四字熟語です。

幽遠無縁-欲しい縁を探しても幽霊のようなもので見つかることはないの意。

宿怨離縁-一度縁が繋がっても怨念が宿れば離れるの意。