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川柳

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2022年2月の記事一覧

船を漕ぐ

生まれ変わる海辺にうめていた羽毛

単調な短調のうた 誕生す

自由意志 いっぱいしっぱいしたいしね

どこまでもドローにならず泥試合

ぼんやりとした空ぼんやり見て歩く

くらやみに星が浮かんで温かい

遺伝子の奴隷にはならないねずみ

風のない場所で雪のようにねむる

春色の雨

暖かい色の青空息をする

詳細は潮騒の中 塩触る

足先に一足先に咲いた花

久しぶり 日差しの丘に日々が降る

歩道

風のなか口がなにかを発してる

降る雪を見ている人の心の火

自ずから渾然と輝く自然

歩道橋 昨日の星は木の匂い

未明

無意識の中で意識が鳴っている

君が文学だと思ってやったこと

僕たちの選民思想を捨てる場所

野蛮な手のひらに夜空を並べた

無謀にも魔法を見本に模倣する

よいひかり

彗星のごとく現れ消える自我

100年をかけて1世紀が過ぎる

ヘッドライト 夜へと落ちていくひかり

肖像が宵の硝子に消えていく

本棚で確かな本心欲してた

ぐうぐうと眠るグッドボタンを食う

黄身が君 白身が自身 殻が空

冷たさのなかを遠くの電車ゆく

九九表を傀儡のように数が舞う

あい言う縁を

赤い沙汰 名はまだやらん 我がサタン

生き死ににシティに秘密 凛々と

浮くスーツ ぬるく不向きなゆるい湯に

円 罫線 丁寧 平面 冷静に

起こそうと登る百夜の蝋を越え

引っ越し

コレクター ガラクタじゃないキャラクター

至る所微分不可能な気分屋

窓越しの星から越してきた本心

空っぽの靴かたいっぽ 空に着く

純粋

膝に爆弾を抱えてるロボット

ぼくたちの体が、ガラクタだった頃

純粋に輝く渾沌とした眩暈

夕暮れにまみれた泥とにわか雨