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田口ランディ『ハーモニーの幸せ』を読んで 『終わりなき本当の私探し』

自分とは何か?
誰でもが一度は疑問に思ったことがあるだろう。
そして、この質問には今の自分が満たされていないという前置きがある。だから人は「本当の自分」探しをしてしまう。「『本当の自分探し』の物語のなかには幸せがあり、冒険があり、挫折と成功があり、人生を彩るには十分に楽しいドラマなのだ」から。

スガシカオの曲『progress』の中にも「ずっと探していた理想の自分ってもうちょっとカッコよかったけれど 僕が歩いてきた日々と道のりをホントはジブンっていうらしい」という歌詞がある。「ありのままの自分を生きるということはそれほどハッピーなことでもない地味なことだ。第一、現在の主流ではない」と著者は言う。

自分を理解しようとするとき、人は他人と見比べてしまう。社会の目から自分がどう見られているかを考えてしまう。「社会はなんの助けにもならない」のに。「社会は繰り返し私たちに、ほかの人たちと同じように行動し、同じような外見でいろと主張しつづける。本来の顔を捨てて、自分を幽霊に変えてしまえと言う」だけなのに。

それでも人は、自分を「他の人の手にゆだね、他の人の目に映った姿でだけ自分を見て」しまう。それが今の主流であり、自分自身を掘り下げて、深く考える時代ではないのだ。

だから、そんな時代だからこそ、「他者の手にゆだねた自分を取り戻し、本来の自分を生き抜くこと」が必要になる。「この決断は、きっとそれほど楽しいものでも、かっこいいものでもない」から非主流派にならざるを得ない。

本当の自分は外を探しても見つからない。自分の中を真剣に見つめることで、「自分とは何か?」という難しい質問の答えを導き出せるのだと思う。

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