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田口ランディ『ハーモニーの幸せ』を読んで 『介護と恋愛と墓参り』

田口ランディや『介護と恋愛』の著者、遥洋子の父親は相当な暴君だったそうだ。

実は私の父親も「相当な暴君」だった。そして、そんな父親を田口ランディと同じように、大嫌いな時期があった。父親が年を取り、病気になり、そして亡くなったという段階を通じて、父親への思いも変わっていった。年を取って酒乱で暴れそうになったとき、後ろから抑えた私は、父親の力のなさにびっくりした。病気になって入院した父親を見舞いに行ったとき、自分の体より私の体ばかり心配してくれて、私のことを本当は愛してくれていたんだと気づいた。亡くなって、棺に入った父親を見て、父親も暴君の両親に育てられて、苦労をしたことを母親から聞いて、父親に同情してしまった。今になって思えば、生きている間にもっと本音で話し合いたかったと思った。

なので、「親というのは本当にもう、なんてめんどくさくてつきあいづらい存在なんだろうか」という著者の意見にとても同感できるし、できれば著者も父親が生きている間に和解してほしいと思う。その際、男というのは、なかなか本音で話せない生き物だということは忘れないでほしい。ひとつの言葉が相手のプライドを傷つけ、相手をいじけさせてしまうことがある。プライドを傷つけられると男は本音で話すことをやめてしまう。男とは厄介で弱虫な生き物なのだ。

「わたしは父を、あんなふうに愛しているのだろうか?」と著者は言う。大好きと愛してるの違いを理解するのは難しいが、私は父親を許す(まだ完全にではない)ことにし、できれば「愛していた」と思えるようになりたいと努力している。そのときに私は大きく成長するとともに、強い心を持てるし、自分を信じることができると思っている。

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