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ザ・ショート・ショート・ショート14

<涙の理由>
静まりかえったレストランで。
きれいな彼女の顔が歪み、目から涙がこぼれた。
僕は慌ててハンカチを差し出したが、彼女は受け取らず、自分のバッグからハンカチを取り出して、涙を拭いた。
まわりの視線が僕らに集中しているような気がして、
「どうして泣いているの?」
と聞いたら、彼女は答えた。
「ごめんなさい。目にホコリが入ったみたい」

<老人に席を譲れなかった話>
二日酔いの体を無理やり起こして会社に向かった。運良く電車で席に座れてホッとしていると、次の駅で杖をついた老人が僕の目の前に立った。
僕が「どうぞ」と言って立とうとしたら、老人は「大丈夫ですよ」と言ったので、そのまま座った。
すると、僕の隣に座っていた若い女性が、「こちらへどうぞ」と言って立ち上がった。
老人は「どうもありがとう」と言って、僕の隣に座った。
老人はたぶん僕が真っ青な顔をしているのを見て、遠慮したのかもしれない。
その後僕は、駅に着くまで寝た振りをするしかなかった。

<別れのスケジュール>
「じゃあ、またね」
さようならと言うことができずに、いつものように僕が言うと、彼女が大きな声で
「私たち別れるんでしょ。またねっていつのことなの?」
彼女は泣きながら両の拳で僕の胸を何度も叩いた。
僕が彼女を落ち着けようと、彼女の肩に両手をかけると、彼女は僕の手を振り切って、走り去った。

「ふー」
僕はため息をついた。何回やっても別れの場面というのは気が重くなる。僕はポケットから手帳を出した。そこには女性の名前が8名書かれていて、上から2人の名前には✕印が付けられていた。僕はペンを取り出し、上から3人目の女性の名前に✕を付けた。
時計を見ると8時20分を過ぎていた。
「どうやら間に合いそうだ」
僕は4番目の女性との待合わせ場所へと向かった。

その頃、さっき別れを告げられた女性は喫茶店にいた。
彼女はバッグの中から手帳を取り出した。開いたページには男性の名前が10名書かれていた。彼女は一番最初の男性の名前を二重線で消した。
一人目は運良く相手から別れを切り出してくれたが、今度は自分から別れ話を持ちかけなければならないだろう。彼女は2番目の男性が来るのをコーヒーを飲みながら待っていた。

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