田口ランディ『ハーモニーの幸せ』を読んで 『つまらないということ』
私事だが、去年の6月から適応障害で会社を休んでいる。十年以上前から病気になったり治ったりを繰り返している状態だ。
特に朝が辛く、ひどいときには脱力感で起き上がることもできない。倦怠感で何もする気にならない。
それを著者は「つまらない」と表現している。行動力のある著者だからこそ無気力感がつまらないのだろう。「外部の刺激がすごく弱いパルスでしか脳を伝わっていかなくて、記憶の扉を叩かない。何も喚起されないし、可能性も発見もなくなってしまうので、何をしていても沸き上がるような喜びがない」状態はイライラを呼び、「あらゆる出来事が不機嫌の種になった。」
特に心の不調はまわりの人たちに理解されにくいので、イライラも募るばかりだし、自分に対して腹立たしくなることも多い。
私の場合は心療内科に通い、投薬治療を続けているが、著者の場合はある夢をきっかけに「つまらない病」が治ってしまう。
その夢は「これまでの夢人生のなかでも特筆すべき汚い夢」だった。「夢のなかじゅうクソまみれ」だった。
筆者は「ああ、そうか、私はこの夢みたいな世界で生きていたんだな。この夢は私の内的な現実なんだ」と意識化し、意識化できたことで、この病を乗り越えた。田口ランディらしいといえば田口ランディらしい治し方だと思う。田口ランディの感性が豊かなのも治った原因のひとつだった。世界は「ひとつの枠組みはすぐに消えて、気がつくと新しい枠組みのなかに閉じ込められている。」その枠組みから逃げ切ることが人生の面白さなのだと著者は言う。
もちろん症状も違うし、性格も違うのだから、参考にはならないかもしれないが、最近どういう理由か夢をよく見るようになった。それもほとんどがあまり良い夢ではない。もしかしたらその夢の中に病を治すヒントが隠されているのかもしれないと、私は今思っている。
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