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キャリア的視点260 -その採用、待った! 離職率を減らす方法-

毎日ブログ 260日目(2020/11/14

離職率を数字以外で考える

多くの企業がこの2020年は経営の維持の為に様々な施策を講じていたことだと思います。
まだ終息していませんが、今年は特別な年であり、同時に変換期になったのではないでしょうか。

特に経営者の皆さんを悩ませたのは「従業員の皆さんの雇用をいかに守るか」が中心で、これまでは離職率に頭を悩ませていた方々も、今年は逆だったのではないでしょうか。

さて、例年であれば皆さんの会社の離職率というのは如何でしょうか。
どうしても皆さん、数字で表されるとポンと出されると分かりやすいので、つい離職率という数字を追われているのではないかと思います。
とは思いますが、何となくでも大切なのは数字ではないという事は分かっているのでしょう。わかっていて欲しいとは私の願いでもありますね^^;
大切なのは「退職理由」です。それも退職者が表には出さない「真の退職理由」が大切なのです。

退職者は転職情報誌に書いてあることに従って、表面上は不満のかけらも見せずにポジティブな理由をでっちあげて、円満退職を目指します。
多分本当の円満退職は「定年で退職を選ぶ方々の内の何割か」と「独立起業を前提に退職する内の何割か」くらいでしょう。退職者の9割が不本意な退職だという話もあるほどです。(正式な統計ではありません)

正直、少なくとも従業員を雇っている場合は、退職者0は実現しません。定年制度を撤廃してもいずれは辞めていきます。独立起業で辞めていく人は、いっそ笑顔で送り出しましょう。
しかし不本意な退職は別です。
不本意なのですから、組織側と個人の間でその不満を減らす歩み寄りができていれば、なくせるかも知れない退職です。先の退職率で言えば、この不本意な退職を減らすことが一番効果の上がる方法なのです。

今日はその不本意な退職を減らす方法を考えていきましょう。

離職をなくすメリット

まずそもそもなぜ離職を減らすと良いのでしょうか?
簡単に言えば理由は2つです。

一つ目は「悪いイメージをつかなくするため」
離職率が高いと言うことは、求職者から見た時にどこかに問題がある会社に見えるのでしょう。採用が大変になってしまうのです。求職者にしてみれば、新しい職場がこれまで離職者だらけだったら応募してみたいと思いますか?

二つ目は「採用コストの問題」
求人を出す媒体としてハローワークを使っているのであれば、掲載費用というものは掛かりませんが、多くの企業さんはハローワークで紹介される応募者だけでは満足できていないようです。
最近はリクルートやマイナビ、indeed等様々な有料サービスがあり、それを利用すれば当然費用が掛かります。年間にして100万円を超えることも当たり前になってきました。
加えて忘れがちですが、退職者が出た際の「引継ぎロス」が予想以上に大きいのです。これは転勤の場合も同様のロスが起こりますので、確認の意味で書き出してみます。

退職者が資料をまとめる時間。
後任者が持っていた仕事を他者に分担する時間。
後任者が説明を受け理解する時間。
例えばその退職者が営業の場合、取引企業回りをする時間。
前任者との営業手法の違いを埋めていく時間。
新たに後任が信用を勝ち取っていく時間。
額にすればこれも100万円レベルの損失とも言われています。

更に加えてこれなどはもっと忘れがちなのだと思うのですが、採用担当者の人件費というものも、一人当たり年間500万円以上(前後?)かかります。

ざっくり書けば引き継ぎロスで100万円、採用で100万円、人事担当者1名で500万円とかかるという事になります。要するに一人の採用にこれほどに経費が掛かっていると言うことです。

縁あって一緒に働いてきた仲間が「不本意な退職」に追い込まれているのです。採用を考える前に離職を減らすことが大切なのだと思いませんか? 

キーワードは「雑談」

それにしてももったいないと思いませんか? 「不本意な退職者」を出さなければ不要だった経費です。担当者の給与は研修業務など他の仕事などにシフトしてもらう事で対応できるとしても200万円はもったいないですよね。

「退職者を出さない」と言うことは、約200万円以上の利益を生むことになるのだと思います。なかなか損が出なかったことに対して経費を算出するのも難しいのでしょうが、考え方としては経費削減でペーパーレスにするのと同じです。

ではどうやれば退職者を減らすことができるのでしょうか?
答えは昨今話題になっている1on1三―ティングにあると思います。ただ機械的に定期的にやるのでは効果は出ません。リーダーがメンバーに対して、相手の行動変容を促すように関わる事が大切です。

普段から話を聴くことで、細やかな不満の芽を取っていくのです。
「なるほど、そう思っていたんですね」
「そこについてはどう思いますか?」
メンバーの言葉に共感を示し、メンバーの考えを深めるように質問をします。

たったこれだけの事を定期・不定期に繰り返すのです。いっそ1on1なんて形式も不要です。雑談で良いのです。メンバーがリーダーに対し心を開けれるように関わっていけばそれで良いのです。
会社の規模に関わらず、社長自らそれを行っている会社もあります。すれ違いざまに社長の方から笑顔で声をかけるのです。
「おはようございます」
「今日も笑顔でいてくれてありがとう」
「ご家族の皆さんによろしくね」
社長や部長、次長、課長、リーダー達が身近であればあるほど会社に対する不満は和らいでいくのです。

これがまた1on1を行う時に改めて効果的です。悩みや不満を打ち明けやすい雰囲気に繋がっていくのです。

視るべきは数字じゃなくて…

私の前職での話ですが、人事担当者のウワサを耳にしました。

既に退職している人を呼び出し、食事に連れていき、退職理由を聴いて回っている…と。

「退職者が悪い噂をばらまかない様に口封じに回っている」のかと邪推してしまいました。笑い話にもならないウワサです。

そんなことをするなら、なぜその時間に、現在まだ務めている『私たち』に話を聴きに来ないのか。
なぜ面談の時間をボーナスの前だけに限定するのか。
なぜ?

私も結果は辞めた口ですが、そのウワサを私に話してきた彼はもっと先に辞めていきました。
「この会社は、今いる『私たち』には興味がない」と感じていたのです。

退職率という数字でものを考えると『人』が視えなくなります。人の心が見えなくなります。
従業員は『人』であって、『物』ではない事を忘れて居ませんか?
ひとりひとりの心と向き合った時、初めて本当の意味での離職率は下がっていくのではないでしょうか。

従業員が「退職願」を出して来た時にはもう遅いのです。
従業員が転職を考え始める前に、今できる事は何のでしょうか?

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個人の活性化を組織の活性化に繋げます。

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