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#24 一年に一度、時間の奪われる日


英語に、“ I fell asleep as soon as my head hit the pillow.” という言い方がある。言葉通り、「自分の頭が枕に着くか着かないかのうちに眠った」という、瞬時に眠れる表現だ。

たいそう大袈裟だ。とはいえ、私も似たようなもので、三回深呼吸をし終わる前には眠りに落ちている。

能天気なバカである。


寝ることが何よりも好きでありながら、夜更かしの常習者でもある私は、この『すぐ眠れる』幸運にどれだけ助けられているかわからない。

寝るのも魅力的、でも夜更かししてやりたいことをし続けるのは、寝たいときに眠れると知っているからできることでもある。
実際これだけ『眠って』いるのだから、信じてもらえないかもしれないが‥‥ 私はクヨクヨ考えることが多い。

思ったことをその場で言えないことが多くて、理不尽な場面でも、ショッキングなことを言われても、訊き直すとか、相手の真意を確認することができない。(頭の回転が遅いとも言うだろう)

一日中、『なんであんなことを言われたんだ?』とぐるぐるぐるぐる考える。
こうなると眠れなくなる人もきっと多いと思う。

ただ、なぜだか怒ってても泣いてても、私はすぐに眠れる。


眠ることがどれだけ人を癒し、嫌なことをリセットしてくれるものか、睡眠には感謝してもしきれないと思う。


~♪ここからちょっと不穏な音楽が流れ‥‥♬~

それだけ愛おしい睡眠が一時間奪われる夜が、毎年一回やってくる。(衝撃!)

British Summer Time (英国夏時間) が始まる夜だ。

英国夏時間の具体的な実施期間は、3月最終日曜日1時から10月最終日曜日1時までの期間。つまり、グリニッジ平均時で3月最終日曜日の1時になった瞬間、英国夏時間が始まり、同日の2時になる。このため、夏時間の開始日は1日が23時間となる。


私が今日、ちょっと元気がでないのは、昨夜この『一時間奪われる』現象が起きたことと関係があると言うつもりはない。

だが、人間には『腹時計』のようなものがあり、習慣としてやっていることが、時間通りにならっていくとなんだか軸がずれると言うか、しっくりこないのだ。

今でこそ、皆がスマートフォンを持ち、そこにプログラミングされている夏時間の表示が、私たちに『何かが変わった』と疑わせる余地も与えまいとする。


ただ、オンライン化、デジタル化がされる前は、テレビからも、人と会えばあいさつ代わりに、”Don’t forget to set the clocks forward." ( 時計の針を一時間進めるのを忘れないでね) と言われたものだ。

なぜなら、家の誰かが椅子に上って家じゅうの時計という時計を一時間進めておかない限り、家の中で昨日との変化を思い出させる要素はない。

これは土曜から日曜の朝にかけて起きるので、その日曜には教会の礼拝に一時間遅れてくる家族が必ず一組は居たものだ。

当然逆もあるわけで、この夏時間の終わる10月の最後の土曜から日曜に変わる朝、一時間ゆっくり寝ていられるのに、気づかず教会に行って『なんで開いてないの~⁉』と叫んだのはこの私だ(笑)

日本人ならそうなのか、私がアホなのか、この時間の流れ方、これが何のためにあり、どんな恩恵があるのか、しっかり理解するのに何年も何年もかかったと思う。

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このような夏と冬での日の出、日の入りの時間の極端な違いが、イギリスでサマータイムが必要となる理由であり、サマータイムの利点は以下である。調べてみると、世界では日本のようにサマータイムを導入していない国のほうが少ないと知り驚く。

家族や友人と外で過ごす時間が増えることで余暇が充実する ➡ ストレス発散 ➡ 仕事の質が上がる
終業後にお金を使う機会が増える ➡ 経済の活性
明るいうちに帰宅できる ➡ 照明の節約、交通事故の軽減


夏時間に入って数日は、時計を見るたびに、『ああ、今は夕方6時だけど、昨日までは5時だったんだ、まだ全然お腹空かないよ』とか、朝、『昨日まではまだ6時半でベッドに居られたのに、なんでもう7時半なんだよぉ~』と泣けたりした。

カラダが違う違うと叫ぶのだ‥‥

もう何が何だかわからない。


子どもが幼かった頃は、本能的かつ習慣的にしか動かないので、なぜ寝る時間になってないのに親が寝かそうとするのかわからなかったはずだ。


とりあえずは、時間が奪われるという、一年で一番嫌なミッションは去った。体は戸惑っても、数日もすれば何事もなかったかのように慣れることだろう。

また、英国夏時間で10月最終日曜日の2時になった瞬間、グリニッジ平均時に戻り、同日の1時になる。よって、サマータイム終了日は1日が25時間となる。

↑ この、とびっきりのしあわせの日を待ちわびる日々が始まった。

いったん落ちたら、あとは上がるだけ‥‥というあのメンタリティーに似ていて

私にはもう希望しかない。

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