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無題11_雨につられて死にたい。

世の中色々あるよね
よく、そう思ったりすることがある
例えば電車に乗ってる人の顔が誰一人いきいきと楽しそうじゃなかったり、
みんなが盛り上がってる中寝てる人を見かけたり、
そんな大きなことじゃなくても、ただ眠かったり、大勢の中であぶれていたり、生意気だけど達観してしまっているときとか
大小とか、区別つけようっていう思考回路自体、なんだかうざいっていうか
ほんと、人間面倒くさい
「世の中、色々あるよね」
ふとつぶやいた。いつもの日常。
なんだか何かが欠けているかのような感覚に陥る。
そんないつもの日常。
雨の降りしきる中、服が濡れることを気にもとめずに屋上の鉄柵に寄りかかっていた。
傘は傍らに。
いつか雪が降った日に軽く入った洋服店でオススメされた「防水」加工ほどこされてるらしいウィンドブレーカーではない上着。
口車に乗せられ買った。
かぶったフードの内側がモコモコで首筋が心地いい。
雨に触れることは好きだけど、傘を叩く雨音も捨てがたいんだよねー、なんて、心のなかで思う。
見下ろす地上に吸われてく雨。
散る、弾ける音は距離ありすぎて聞こえない。
それがなんだか無性に悲しくて、おいていかれたような気持ちになる。
それは、ボクに染み込んだ雨と落ちる雨の「共鳴」だったりするのだろうか
「共鳴なら、ボクも混ぜてくれてるのかな」
雨と共鳴、共感なんて、なんだかこの無常観漂う言語化できない気持ちになるワクワクする。
「…何処までいっても嘘ばっか、かなぁ、」
笑みがこぼれてないだけマシか、とか。自嘲的であることに変わりはないのに、変にうれしい。
「嘘か」
世の中色々。
複雑。
この時間が、何気に好きなんだ。
なにもないのに、ただ、独り。何も気づかず、気にせずに。
ただ微睡みに心を委ね、「透明な黒」になれる。
そんな感覚。
頭が冴えない心地よさ。っていうのかな。
「まっさらになんかなれない。」
それだけがわかって思わずうずくまった。
急に音が鮮明にきこえる。
なんだか寒くて涙ぐんでしまう。
絶望の縁、っていうか底。
震える手で傘を手繰り寄せた。
体を覆いつくせるよう、守れるよう傘を広げた。目を閉じた。
目を閉じた。
雨音が弾ける。
雨が、強くなってきた。

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