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無題13_スタバにて。

帰りたくない。

そう呟こうとした矢先、隣を通る人影、
思わずビクッとしてしまう。
現在スターバックス。
に、居る私。
カフェ、という場所にいるのだから、人が通るのは当たり前だし、イヤホンだけの薄い境界では周りの音なんて防げない。
勉強をしなくては、なんていう強迫観念に苛まれ続けている。
良いことなのかもしれない、と思いながら情緒の不安定を感じる。
数年前から日に日に少しずつ増していくかのようなこの不安定さ。
いつまでたっても慣れないもので。
そういうなんとも言えない息苦しさを噛み砕くように唇を引き結んだ。
ガムシロを入れ過ぎて逆に飲み辛くなってしまったコーヒー。
今日3杯目。
そうやって無意味な時間を続けている。
取り返しのつかない状態になったコーヒーと自分を重ねて、何故か憐れみの視線を向けてしまう。
馬鹿らしい。
どうしても周りに人がいると礼儀正しく動いてしまう。
そうやって生きることを覚えた。
周囲に違和感を持ってからもそうやって生きてきた。
半生、と言いたくない今までの人生。
世界が理解できなくなって。
周囲の人間殆どが敵であると錯覚していく。
離れている時間が増えるにつれてどんどんと疑問が湧いていく。
私って何、と。

ずっと何故苦しいのか解らない。
そういう日常。
それが後ろめたくて死にたいと苦しむことが許されないっていう、そういう辛さ。
矛盾。
そう、ボクは存在自体が矛盾なんだ。
って。
朝、水に溶けずに飽和して次第に散って溶けていった己の血を見た。
死ぬつもりのない自殺未遂。
不快で仕方のない自分。
それをも上回るほどの気色悪さを纏う表の自分。
そう思う心が一番外れていること、知っている
そうぼんやりと目を細めた。
そうやって生きていると周りの音さえも怖くなっていった。
そうやってどんどん生きたいという意欲をなくしていく己。
追い詰めているのは何時だって自分。
自分が嫌いだ。
僕を全て、
自分を消し去って仕舞って、
世界になんの不協和音も、
協和音も与えない
くらげになってしまいたかった。

となりを過ぎる足音。
自らの腕を抱く。
怖い。
血の気が引く。
寒い。
ヘッドホンでも持ってくれば多少はマシだったであろうか。
知らないもの何も見たくなくて
胸元の十字架を握りしめ、
キリストではない、まして神でさえない、
それでいて自分にとっては最早神さえ超越したといっても過言ではない大切な人たちを想う。
祈る。
世界が怖い。
生きたくない。
それでも生きていたいと思い込もうとする。
そして私は、
顔をしかめて苦笑した。

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