【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #8
尊王攘夷への道(2)
その頃聞多は自室で大の字になっていた。手元には航海遠略策、床の上に海国兵談の一部が置かれていた。本を手にとっては、気になるところに付箋を付け、また手にとっては、周りに投げていた。そしてブツブツつぶやいてなにか考えをまとめようとしていた。
「海は異国にも続いている」
「防御するには、砲台や台場を築く」
「海か。船だ。蒸気船が必要。海軍だよなぁ。国力もか。金がなければ船を買えない、作れない、か」
「港を開くには|勅許〈みかどのおゆるし〉が必要と」
「帝