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トラックの荷台をメディアに。SNSの普及してないパキスタンで迷子を探す 【PR研究所078】

概要

 パキスタンには、SNSそしてマスメディアも普及していない地域があります。そして毎年3000人以上の子供たちが行方不明となっている現状があります。

 迷子の手掛かりを探すために、地方を走るトラックの荷台を「メディア」として使うというアナログなアプローチで、大きなインパクトを与えました。

 NGOのRoshni Helplineを主体としたこのプロジェクトは、実際に3000を超える問い合わせがあり、7人の子供が発見されました。

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(動画よりスクショ)

課題・背景

①毎年3000人以上の子供たちが行方不明

②手がかりを探すにも、SNSはもちろんマスメディアも普及しきっていない

③NGOとして大きなプロジェクトで迷子問題を解決したい

ターゲット

迷子になった子供たち
迷子になった子供を持つ家族など
地元のコミュニティ
地元のアーティスト(トラックに絵を描く)

目的

①SNSやマスメディアも普及しきっていない中でも、迷子を見つけ出す

③予算の限られているNGOでも、大きなプロジェクトで地域を巻き込みたい。

施策

 迷子の手掛かりを探すために、地方を走るトラックの荷台を「メディア」として使うというアナログなアプローチで、大きなインパクトを与えました。アナログが故に、SNSを持っていない地域でもリーチすることが可能です。

 また、地元のアーティストと協力することで関係者を増やしました。彼らはトラックの荷台に似顔絵を描いていったのです。レベルの高い似顔絵に、「迷子探し」とは別の切り口で話題性を仕掛けています。

結果

Spikes ASIAによると、

・3000件を超える問い合わせ
・500以上の迷子を導き
・7人の子供を新たに発見

することができたそうです。

PRの事例として注目すべき点

 PRの事例として注目すべき点は主に2つあります。

 1つ目は、「迷子探し」だけでなく「地元アーティストによる似顔絵」という切り口からの話題性も仕掛けられている点です。相性のいい関係者を巻き込んでいくことで、さまざまな角度から話題になるきっかけを生み出すことができます。

 2つ目は、アナログな手法を使っている点です。パキスタンではSNSやマスメディアの普及がしきっていないため、消去法に選ばれた手法かもしれません。しかし、このアナログな手法はSNSやマスメディアの浸透が進んでいる日本でも、別な文脈で有効なのではないでしょうか。

 スマホの◯㎠以内でコンテンツが追えてしまう現代だからこそ、アナログな出会いは新しい価値を持っていると分析します。具体的には、「バ〜ニラバニラ高収入♫」のバニラを挙げます。

 この通称バニラカーは、情報の多い都会の中にひときわ目立ち「セレンディピティ(素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること ーWiki)」を与えます。

 この不定期に周回するバニラカーは、予定調和のマーケティングが多いスマホとはまた種類の異なるものかなと考えます。



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