見出し画像

道に転がる2000体のテディベア。途上国の子供達が抱える危険性を訴えるアンビエントPR 【PR研究所013】

 2018年、イギリスの街中に2000体ものテディベアが転がった状態で放置されました。HOPEと名づけられたこれらのテディベアは、発展途上国における子供達の「遊ぶ時間」が失われていることに対して問題提起をする目的で放置されたのでした。

 仕掛けたのは国際協力NGOのWorld Visionで、世界で数十万人にのぼるという、奴隷の危機にさらされた子供達の抱える危険性を訴えました。

 テディベアの左腕のタグには、危機にさらされている世界中の子供達についてや奴隷についての問題提起がかかれています。

 街中にあらわれたテディベアを見た人々は、左腕のタグをみることでメッセージを受け取ります。

 メッセージに共感した人々は、InstagramやTwitterなどのSNSで#ShareHopeというタグと共に問題提起をしていき、たくさんの人にリーチしました。

 子供達の遊びのパートナーといえば、というテディベアを用いることで、子供達の失われてしまった「遊ぶ時間」を表現するアンビエントな施策です。

 また、キャンペーンに合わせてWorld Visionはイギリスの親に向けて、子供に関する調査を実施しました。その結果、子供にとって「おもちゃ」という存在がいかに重要かという事実が浮き彫りになったそうです。

 子供にとって「おもちゃ」「遊ぶ時間」がとても重要であるのに関わらず、世界中では多くの子供達が失ってしまっているというメッセージ性の高い問題提起が行われました。

 PRの事例として特に注目すべきは1点あります。
 それは、イギリスの街中にテディベアを置いてしまうという思いきりのいいアンビエント施策が取られている点です。街中にテディベアが置かれていたら、どんなにノリのいい音楽を聴いてても、どんな美女とすれ違っても気にせざるを得ないです。街自体を巻き込むことで、最初のフックが強いものとなります。他にアンビエント施策では、NYのウォール街に置かれたフィアレスガールなども有名です。
 とはいえ、PRとして重要なのはやはり「行動変容」。目立つだけでなく、しっかりと行動を引き起こせるかがアンビエント施策のポイントなのではないでしょうか。その点今回の施策はうまく繋げられたのかなと考えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?