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家事だけしてるって古くない?リカちゃん世界のジェンダー観を更新した、リカ ワールドツアー 【PR研究所076】

概要

 日本を代表するおもちゃといえるリカちゃん人形。2007年には40周年を迎えました。リカちゃん人形はそのときそのときの時代を反映してきた歴史があります。(東洋経済オンラインにはその歴史を取り上げた記事も)

 そんなリカちゃん人形ですが、当時のビジュアルイメージや遊び方にジェンダー的な遅れがあるのでは?という視点から出発し、リブランディングを行いました。

 「リカ ワールドツアー」と題されたこのプロジェクトは、リカちゃんに家事をやめてもらい世界中を旅させるという、自立したリカちゃんの世界観です。CD原野守弘さんによるプロジェクトです。

課題・背景

①「家事労働シミュレーション」ともなっていたリカちゃんのジェンダー観に違和感が出てきた。

②85年に年間53億円を売り上げた「リカちゃん」も2016年は18億円にまで落ち込んでいた。(日本マーケティング研究所より)40周年を迎えたリカちゃんのリブランディングとして転機がきた。

ターゲット

リカちゃんを子供に買ってあげる親世代
リカちゃんで遊ぶ子供たち

目的

①「家事労働シミュレーション」から自立したリカちゃん像へジェンダー観を更新する

②時代性や価値観をアップデートすることで、顧客の価値観に沿ったプロダクトにし、親世代の共感を集める

施策

 「リカ ワールドツアー」と題し、リカちゃんに家事をやめてもらい世界中を旅させるという、自立したリカちゃん像を描き出しました。

 世界ロケを敢行し、合成無しのガチ旅リカちゃんをブログにアップしていきました。そのほか「ワールドツアー」版のグッズも展開していきました。

(合成無しなあたり作り込みの本気を感じます)

結果

 日本マーケティング研究所によると、プロジェクト開始の2007年4月から成果は上期の昨対160%という実績がありました。

 具体的な指標としては不明ですが、「家事労働シミュレーション」だったリカちゃんから自立したリカちゃんのイメージになったことは想像に難くないです。

PRの事例として注目すべき点

 PRの事例として注目すべき点は主に1つあります。
 それは、リカちゃんという歴史が長いものをリブランディングする際、「新しくすること」と「そのままにすること」の見極めが秀逸な点です。

 「新しくすること」は、リカちゃんのジェンダー観を「家事労働シミュレーション」から自立したイメージにすることです。一方で、長く愛されるリカちゃんの「そのままにすること」を見極め残すこともブランドには必要です。

 「そのままにすること」は、リカちゃんのコンセプトや遊ばれ方です。ワールドツアーというプロジェクトの中でも、これらは引き継がれている印象です。

リカちゃんは、ときめきや夢・憧れの体験を提供し、可能性を広げたり夢中になれるような好きを見つけるお手伝いをします。ー"タカラトミーhttps://licca.takaratomy.co.jp/"

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