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IKEA、1$のバッグと類似したBalenciagaの2600$のバッグとの見分け方を解説【PR研究所008】

 2017年、IKEAはお馴染みの青いバッグ(1$≒110円)とハイブランドBalenciagaの新作バッグ(2600$≒約30万円!)があまりにも類似しているとネット上で騒がれていることに対し、IKEAはどっちが自社のバッグかを見極める解説をユニークな形で発表しました。

(左がBalenciagaのバッグ、右がIKEAのバッグ。確かにめっちゃ似てる。)

 これを受けてIKEAは、THE ORIGINALという題と共にバッグの見分け方を6つのポイントから解説する広告を掲載。IKEAとBalenciagaのバッグが似ている!と話題になってからすぐの投稿となりました。

 以下が実際に投稿された広告です。

IKEAのオリジナルのフラクタバッグの見分け方

1) 振ってみる。振ってカサカサ音がする方が本物のIKEAバッグ。
2) 多機能か。IKEAのバッグは、ホッケー道具からレンガ、水まで運ぶことができる。
3) 泥の中に落としてみる。本物のフラクタのバッグなら、庭のホースで洗うだけで汚れを落とせる。
4) 折ってみる。小さな財布の大きさにまで折りたためただろうか? できたなら、それはIKEAのバッグだ。
5) 中を見てみる。オリジナルのバッグには本家のIKEAタグが付いている。
6) 値札を見てみる。たったの0.99ドルだ。

 非常にユーモアな角度からIKEAとBalenciagaのバッグの見極め方を解説しています。特に3)。泥の中のBalenciagaなんて絶対にやりたくない。

 この説明、単にIKEAの面白いだけではなくあくまでIKEAが「THE ORIGINAL(本家)」でありBalenciagaは類似品であるという言い切っているところ、さりげなくIKEAバッグの使い方や良さをアピールしているところにも面白さを感じます。

HUFFPOSTによると、IKEAの広報担当は「バレンシアガのトートバッグが、IKEAの象徴的な、地球に優しい99セントのブルーバッグに似ているということで、非常に嬉しく思います。大きなブルーバッグの多機能性に勝るものはありません!」とコメントしたそうです。

 Balenciagaは同バッグの素材に羊革や牛革を使用しているようで、IKEAはコメントでもユニークに皮肉ってくるなという印象です。

 PRの事例として特に注目すべきは1点あります。
 それは、似ていると話題になってから広告の投稿までかなりスピードが速かったという点です。SNS上で似ているという指摘を見つけてから広告の投稿まで、準備を考えるとかなり早いものだったと思います。PRにおける大事な要素のひとつに「即時性」が挙げられます。つまり、そのとき社会で話題になっているテーマにきちんと刺しにいくということです。しかし、SNSという場所ではかなりのハイスピードで話題が消費されていきます。そのハイスピードな流れに乗っかり、しかもIKEAという大企業がやってのけるのはなかなかないことなのではないでしょうか。

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