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【あなたはどっち?】姉と妹

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。
今回のテーマは「#子どもに教えられたこと」です。
その姉妹は、幼馴染の娘たちで、9歳のお姉ちゃんと5歳の妹。たまに家族に混ぜてもらう形で遊ぶ小さな友人でありcuteなgirlたちである。
旦那が留守でふたりの娘との休日を持て余していると言うので、一緒にショッピングモールへ行くことに。立ち寄ったサンリオショップで、シナモンロールの定期券入れが欲しいとママの目を盗んで私にねだる妹。幼稚園児にそれ全く必要ないよね、だってまだ電車もバスも無料じゃん。1500円。ままごとするには高すぎるわ。てかなんでいつのまにか私が買ってあげる流れになってるの。でも、なんの手土産も用意してこなかったしたまにはいいか、次回はきちんとお断りしようと誓い、お姉ちゃんの分と共に買ってあげる。
聞けばお出かけの度、妹は、小学生のお姉ちゃんが、PASMOでぴっぴしてるのに憧れていたそう。自分だけない、とか、できない、とかそういうの嫌みたい。特にお姉ちゃんには負けたくない。
「あのね、これでぴっとやるの。おねえちゃんがやってるみたいに。ぴっぴって。」 
わざとらしく子どもっぽい甘い話し方をする。かわいい。
でも幼稚園のお友だちとは、自分のこと「うち」て言って、まるで女子高生みたいに話してるよね。実は。
子どもっぽい方がかわいがられるの知ってるんだろうな。
さて、お姉ちゃんは、自分のPASMOを妹の買ったばかりの定期入れに入れてあげる。妹は、ぴっぴっ、と言いながらひとりそらで練習している。数年後の来たるその時にそなえて。
そして帰り道、改札前で妹にPASMOを貸していたことを思い出したお姉ちゃん。
「私が電車に乗れなくなっちゃう」
と慌てて妹からPASMOを取り返す。するとお気に入りを奪われた妹は大泣き。いや、ホントは泣いてない。嫌な思いしたってのをちょっぴりアピールしたいのだ。
さて、ここからはいつものお決まりパターンなわけで。無理やり妹のお気に入りを姉が奪ったと思ったママは怒る怒る。
「9歳と5歳、どっちが我慢できるの、どっちが譲れるの」
我が親友ながら、マジこえーよ…生理前のイライラも手伝い(子ども達からすればいい迷惑だが)すごい剣幕だ。私も一緒におろおろしてしまい、姉妹と共にその場で固まる。まるで3人が怒られている格好だ。賢いお姉ちゃんは、そんなに怒られる事?と解せない様子。生真面目なので納得できないと謝れない。それが更にママをヒートアップさせる。
「ねぇ何その態度、どっち!?」
詰め寄るママに、
「…ハイ、私、できる!」
耐えられず小さい声で手を挙げたのは、なんと妹の方。
この流れで!?すげぇ。余計に立場をなくしたお姉ちゃん。悲しいやら悔しいやらなのだろう、しくしく泣き出す始末。でも小さい女の子みたいにわーんとはやらない。涙をさっと拭いてすっと顔を上げた。妹の立ち回りのうまさと姉の気高さよ。これって姉妹あるあるなんじゃなかろうか。私自身はthe長女気質だから、妹に感心しながら姉に同情してしまうんだよな。どっちもstay goldだぞ。改札口で彼女達に手を振りながら思った。

文 べみん
編集:アカ ヨシロウ


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