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本の話など

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「暮しの手帖」話、のつづき。

さて、「暮しの手帖」の話のつづき。もう一つ、最新号で気になったのが「また旅」の岡本仁さんの沖縄旅の話。ふと文章を追う中、山之口獏のことが書かれてあった。「あ、」と思った。これまた、なんというタイミングかしら。山之口貘は沖縄出身の詩人。岡本さんは、若い頃、フォークシンガー高田渡の代表作で知られる「生活の柄」の詩が山之口貘であることを知って詩集を買い求めたのだそうで、この沖縄旅でも山之口貘ゆかりの場所

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「暮しの手帖」のこと。



じっくり読みたいと思っていた。「暮しの手帖」2020-6/7月号を。これまでも、気になった記事の時は買っていた。でも、北川編集長になって一層、全体の佇まいに居心地のよさを感じる。

わたしにとって、「暮しの手帖」は”雑誌読み”の原点ともいえる雑誌。岩手県の片田舎のまちで過ごした小学生時代、小学館の「世界少年少女文学全集」(だったかな)、70年代に創刊した集英社の「美しい部屋」、そして母がながら

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スタンダードってなんだろう。



ちあきなおみが歌っていた「黄昏のビギン」を聴いたのは、きっと小学生ぐらい。

別に口ずさむ訳でもないし、好きな歌という訳でもなかったけど、

頭に残っているせいか、なんとなくメロディーが染み付いていた。確か、コマーシャルで誰かがカヴァーもしていた。最近、また思い出して理由もなく気になり、

Youtubeという現代の便利な仕組みで見つけた、ちあきなおみの歌。大人になって聴くと、名曲ですなあ。な

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地味な鱒、の話。

スーパーの魚コーナーで、塩サケと塩マスが並んでいたら、どちらを買うか。

木村衣有子さんの著書「あのとき食べた、海老の尻尾」の中に鱒の話があって。淡水魚の鱒が、味も見た目も地味だというくだりで妙に納得したことがある。鱒は、自分自身も内陸育ちで、子どもの頃にさんざん食べた定番食材。でも、大人になって、スーパーでは塩マスよりも塩サケの売り場が広いこと、あるいは、塩マスそのものを置いていない店も結構多い

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