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ハイパーネガティブな父の、ポジティブな教え

放置し過ぎて色落ちした髪は、今までで1番綺麗なグリーンアッシュに染まった。

昨日染めたばかりの綺麗な色を少しでも長持ちさせるシャンプーのことが、朝から頭の中をずっとうろうろしていた今日。

昼休みに携帯を見ると父からLINEが入っていた。

『イチゴが手に入りました。
〇〇(妹)のところにお米を届けなくてはいけないので、アパートの取手にぶら下げときます。』

例のあのイチゴだ。

うちのアパートの扉は西日が当たる。

急いで帰ったが、イチゴは若干ふやけていた。

イチゴを食べながら、父の教えを思い出していた。

泣いて過ごしても、笑って過ごしても同じ1日。

"だったら、笑っていた方がいいじゃん?"

と、いう意味。

いつ言われたかは、はっきり覚えていないが、父の運転する車の助手席で聞いたことは、はっきり覚えている。

そんな、素敵でポジティブな言葉を教えてくれた父は、ハイパーネガティブ。

犬猿の仲な母の愚痴を垂れ流し、代々続く兼業の米作りも嫌々やっている。最近では、犬の散歩も「あいつら真っ直ぐ歩かないから時間がかかる」と、愚痴っている。

それは、父のポーズなのかもしれないが。

ちっとも楽しそうに見えない。

父にその言葉を教えてもらった時、私は「そうだね。でも、そっくりそのまま返すよ。」と言った。

父は笑っていた。

でも、よくよく考えると、自分にできていない事だから、引っかかるのだ。

私自身もそうだ。よく人に真面目と言われるが、それがいやで、『ハチミツとクローバー』の森田さんを心の中に召喚することがある。

その通りにはなかなかいかないけれど、娘には笑って生きてほしいと思って、父は私に、あの言葉を教えてくれたのかな。

と、よい解釈をしてみる。

「イチゴありがとう!受け取りました!」

父の今日は、私からのLINEで少しは癒されたものになるだろうか。

シャンプーは市販のもので妥協したけれど、イチゴのおかげで、私の今日は、いい1日だ。

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最後まで読んでくれたあなた。

ありがとうございました。

春瀬 蒼




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