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「BCPシミュレーション研修」のご提案

前回の投稿でご案内を開始しました「BCPシミュレーション研修(以下、本研修)」について、実際の進め方も含め、改めてご紹介させていただきます。


「作っておしまい」から脱却する3年間

「令和3年度介護報酬改定」で策定が義務付けられた「業務(事業)継続計画(以下、BCP)」は、3年間の猶予期間が設けられ、今年度の「令和6年度介護報酬改定」から策定・運用・研修・シミュレーション(訓練)が義務付けられました。
BCPが作成されていない場合、「業務継続計画未実施減算」により、策定していないことが発覚した時点から2024年4月に遡って基本報酬が減算されます。

2024年1月1日に発生したM7.6の能登半島地震では、多くの方が被災し、今もなお避難所での生活を余儀なくされる状況が続いています。
およそ60の高齢者施設でも、停電や断水が続き、ケアが行き届かない状況が長期化したため、他県施設へ利用者を移動させるなどの対応も行われました。

皆さまの施設・事業所におかれましても、いつ起こるかわからない首都直下型地震や南海トラフ地震などの自然災害への備えが求められるなか、万が一に備えたBCPの運用や研修、シミュレーション(訓練)を通して、その内容を職員へ周知させ、組織に浸透しているでしょうか。
能登半島地震以上の首都直下型地震や南海トラフ地震などが起こった際に、「BCPがあるからうちの施設・事業所は大丈夫!」とは、ならないかもしれません。

中には「作っておしまい」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、地震や水害などの自然災害が発生し、たとえ経営層からの指揮命令系統が機能しなくなった状況下でも、職員一人ひとりが判断力や対応力を養い、施設で生活している利用者の生活を維持・継続させることが「令和6年度介護報酬改定」からの3年間でBCPの研修やシミュレーション(訓練)が求められている理由といえるでしょう。

「BCPシミュレーション研修」の進め方

本研修では、施設・事業所で策定しているBCPを用いて、災害発生時の刻々と変化する状況が書かれた「状況付与カード」の内容に対して、「体制」「内容」「備蓄品」「継続業務・縮小業務」などの項目について対応できるかどうかをゲーム感覚で検証・確認する内容です。
本研修では、”施設・事業所で策定しているBCPを用いる”点で、災害時の避難所運営ゲーム「HUG」とは異なった内容となります。

本研修を通して、将来を予測することが困難な時代だからこそ、施設・事業所を取り巻くさまざまなリスクに対応できるよう『リスクマネジメント』の強化や『組織の一体感』、『心理的安全性』の醸成を促し、レジリエンスの高い組織づくりを目指します。

本研修の進め方は以下の通りです。
なお、本研修で使用するBCPは厚生労働省が提供している「介護施設・事業所における業務継続ガイドライン等について」にある「<自然災害編>【例示入り】自然災害ひな形(共通)」のエクセルファイル(下記エクセルファイル)を推奨いたします(「備蓄品」「継続業務・縮小業務」の項目がきちんと記載されていること)。

【BCPシミュレーション研修の進め方】
①1グループ4〜5名に分かれ、「対策本部長」「事務局長」「現場責任者」「医療・看護班」「介護班」の役割分担を行います。「対策本部長」「事務局長」「現場責任者」はグループ内の経営層やリーダー層に担っていただきます。

②各グループに備蓄品マーカーを5つ(5日分)配布します。

③「状況付与カード」を1枚引くごとに備蓄品マーカーを1つ(1日分)消費します。 また、「状況付与カード」の「対応」の内容に応じて、備蓄品マーカーを追加消費する場合があります。備蓄品マーカーがなくなったらゲームオーバーです。

④「状況付与カード」の「状況付与」「対応」に書かれている内容に対して、施設・事業所で策定しているBCPの内容でどのような対応ができるか、グループで相談しながら「対応シート」に記載します。BCPに記載されていない内容や備蓄品などを用いた対応は「対応シート」に記載できません。

⑤「対応シート」に記載ができたら、研修講師に提出し、次の「状況付与カード」を引き、研修講師からストップがかかるまで③④を繰り返します。

⑥ゲーム終了後、提出された「対応シート」の内容を踏まえフィードバックを行います。④の「対応シート」を記載した際に内容や備蓄品などで不足感を感じた部分、「状況付与カード」に記載のある「事業継続計画のポイント」がBCPのアップデート・見直しする必要がある箇所になります。

「断水が発生」の対応力を検証

例として、「状況付与カード:断水が発生」に対して、BCPに対応や備蓄品が盛り込まれているか確認してみましょう。

※ベータ版のため実際の「状況付与カード」と異なる場合があります

「対応」に記載があるように、「水が出ない状況下で、食事提供、排泄介助、入浴介助を継続する」ことが出来る内容になっているかBCPの「体制」「内容」「備蓄品」「継続業務・縮小業務」などを確認してみましょう。

「食事提供」では水を使用できないため厨房での一斉調理が出来ない可能性も想定し、フロア・ユニットで備蓄品の非常食や飲料水を利用者に提供したり、食器が洗えないため使い捨ての食器やカトラリーが備蓄品に必要になるでしょう。
また、「排泄介助」では有事だからといって一律オムツ対応にならないようADLにあわせて簡易トイレや便器洗浄用の非常用水の設置、「入浴」では職員の出勤率や皮膚疾患のある利用者など優先して入浴(清拭)を行う利用者の人選(リスト化)や清拭タオル、ドライシャンプーなどを備蓄品として準備しておく必要があるでしょう。

なお、「状況付与」に「復旧のめどがたっていません」と書かれているカードが出た場合、「状況付与カード(復旧・補給):断水が解消」が出るまでこの状況が継続します。
状況付与が重なっていくなかで、貴施設・事業所のBCPで「状況付与」「対応」に対応できるでしょうか…。

まとめ

このように、断水が発生するだけで通常業務ではない対応が求められるわけですが、「私、聞いていません」「私、知りません」では、有事の際に現場は大混乱に陥ってしまいます。

本研修では、「状況付与」「対応」に沿って、施設・事業所で作成しているBCPを職員が「見る」「読む」「想像する」「言語化する」「振り返る」ことを通して、BCPのPDCAを機能させたり、組織への周知・浸透を図ります。

有事の際にBCPが絵に描いた餅で終わらないよう、貴施設・事業所のBCPの実行力を検証してみてはいかがでしょうか。

管理人

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