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2020年7月に読んだ本

2020年7月に読んだ本まとめ。
天冥の標の合間に違う本を読んでた感じ。

天冥の標Ⅵ 宿怨PERT1,2,3/小川一水

やっと6章まできた!
「救世群」の少女と、スカイシーの「スカウト」達のリンゴを求めての大冒険がまさかこんな形で終わるとは思わなかった。

天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC/小川一水

1巻の舞台「メーニー・メニー・シープ」がどう生まれたかの答え合わせ巻。何を書いてもネタバレしそう。最初読んだ時「メニー・メニー・シープ」がどこにあるのか理解できなかった。私も植民星神話に取り込まれてたらしい。

きのこのなぐさめ/ロン・リット・ウーン

このタイトルは秀逸だと思う。

「なぐさめ」とは、“ さびしさ・悲しみ・苦しみなどをまぎらせて、心をやわらげ楽しませる。憂(う)さを晴らす。”(goo国語辞書「慰める」より引用)ことである。なぐさめてくれる存在は、悲しみや苦しみを取り除く薬ではない。話すだけで救ってくれるスーパーカウンセラーでもない。
「なぐさめ」は、痛みを和らげることである。少し楽になった時にすることは休息だと思う。どれくらい時間がかかるかは誰にもわからないが、休息がとれたら人は動き出す。この時原動力となるのが「好奇心」だと思う。

本書はマレーシア人女性が、交換留学で知り合い結婚したノルウェー人の夫と死別するところから始まる。深い悲しみから彼女を立ち上がらせたのは、夫が生前関心を持っていた「きのこ」の世界だった。

きのこという生き物の不思議さ、おいしさ、採集する楽しみ、そこから生まれた人間関係、きのこから生まれた様々なものが彼女を動かす。まさしく「きのこのなぐさめ」を描いた本。

マーダーボット・ダイアリー 上・下/マーサ・ウェルズ

主人公は保険会社所有の警備ユニット―――有機パーツと機械パーツの混合アンドロイドだ。趣味は連続ドラマ鑑賞。任務がない時はひたすらコンテンツ消化に励む。会話、特に人間と顔を会わせての会話に恐怖心を持っており、会話の途中で「早くお気に入りのドラマの続きが見たい」と現実逃避する。

わかる。私もそのタイプ。

このアンドロイドは自らを「弊機」と呼ぶ。
弊社の「弊」に機械の「機」。人に仕えるアンドロイドのへりくだった性質と、機械という無機質な部分が一言で言い表せる人称代名詞だ。
自分は機械と言いながら、この人称代名詞が「弊機」の性格を雄弁に語っているところが面白い。

さらに「弊機」には性別がない。表紙には中性的な人物が描かれているが、読者が彼/彼女/無性を決めてもさしつかえない内容になっている。「弊機」に関わる人間やAIとの会話から好きな性別でカップリング作成OK! 想像めっちゃはかどる。

上下巻となっているが、全て中編作品なのでサクサク読めるのでおすすめ。

アーモンド/ソン・ウォンピョン

人の脳には扁桃体というアーモンド形の神経細胞の集まりがある。怒りや恐怖といった情動反応を司る部位だが、主人公の少年・ユンジェは生まれつきこの部位が小さい。そのため感情がわからない。

ユンジェの母は、息子に喜怒哀楽愛悪欲を丸暗記させ平凡に生きられるよう教育する。祖母は「かわいい怪物」と呼び慈しんだ。

物語はユンジェの一人称視点で語られる。彼は感情がわからないので、事実を淡々と積み重ねてゆく。感情のない彼の語りから、私たちが「そんなのあたり前」と思っている共感が幻想なのだということを知る。ユンジェと共に感情とは何かを考え、人との関わり方を学び直せる。そして愛とは何かを理解するのだ。

サラウンド(1)/紺 津名子

「どうでもいいのにもどりたい。この子たち、無自覚なしあわせのシャワーのなかを生きてる!」(釣巻和先生による帯文より引用)

今思えば学生の頃のしょーもない時間は輝いていた。何のためにもならないお喋り。本屋寄ろう、ファミレス寄ろうと、気軽に言えた時間に追われていない生活。

山口、戸田、田島の男子3人組の緩い日常が愛おしい。



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