東京
「東京の街に出てきました」は、くるりの「東京」の歌詞。
私は地方出身者だ。
東京に出てきて20年近くたつ。
東京は、学生のころからあこがれの場所だった。
小学生の頃に愛読していた「なかよし」に連載していたひうらさとるさんの描いていた「レピッシュ!」という漫画では、主人公が
「東京タワーに住むのが夢」
と言っていた。
「東京タワーから続いてく道」
と歌っていたのは小沢健二さん。
そんな大好きなものたちの語る「東京」に、無自覚に影響されていたのかもしれない。
学生のころ、なんとなく住んでいた地域になじめない自分がいて、東京に出れば、何かが変わるかも、と思っていた。
上京して初めて住んだ東京は、電話番号が03ではなかったし、渋谷も下北沢も遠く、思っていた東京とはちょっと違ったけれど、ようやくたどり着いた、という気持ちだった。
それから20年ほど。住むところをうろうろと変えながら、仕事も少しずつ変わりながら、今も東京に住んでいる。
ただ、23区にすもうが、都会の真ん中で仕事をしようが、どんなに長く過ごそうが、今もどこかで、「東京」にあこがれている自分がいる。
一時期、東京から出て別の地域に住む機会があった。その際に「どこから来たのか」を聞かれて、「東京」と答えることに、後ろめたさを感じる自分もいた。
(結局、「東京が一番長いですが、地方出身者です」という謎な回答をした)
渋谷も、新宿も、青山も、六本木も。
気合をいれなくてもふらっといける、そんな距離感ではあるけれど。
なんだかどこかでまだ、学生の頃に思い描いた「東京」に、ちょっとした夢を見ている自分がいる気がする。
仕事帰りに少し足を延ばして東京タワーを見てワクワクする自分は、たぶんこのまま一生「東京」にあこがれを抱き続けるんだろうなあ、なんて思っている。
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