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水への関心度ってどのくらい? 調査結果から考える、水の魅力の伝え方

今回は、2023年にミツカン水の文化センターが実施した『水にかかわる生活意識調査』(調査対象:20~60代、n=1500)の結果をもとに、水の魅力の伝え方を考えます。

・水への関心度はどのくらい?

普段の生活では、なかなか意識しにくい水。

『水にかかわる生活意識調査』(以下、同調査)において、『水に関心がある』と回答した人の割合は約70%でした。

なんとなく、『関心があるかと聞かれたら、まぁ、少しあるかなぁ...』というニュアンスで答えている方も多い気がします。

そして約30%の方は、毎日水に触れながらも、関心が無いという結果に。

水への関心度
(出典:ミツカン水の文化センター 2023年『水にかかわる生活意識調査』)


近いけど、遠い水。

個人的には、ここに水の面白さがあると思います。


・水の将来は、”水との触れ合い経験”がカギに

一方、同調査を世代別に見ると、『水に”とても”関心がある』と回答した20代~30代の割合は、他の世代を上回っています(約10%)。

同調査の考察では、水に触れ合う経験や教育が、高い関心度に寄与している可能性が示唆されています。

私自身も、幼少期の水辺遊びや、マレーシア農村ボランティアでの水無し生活が、水分野を志すキッカケでした。

同調査から、水の将来は、若い世代の関心・行動のキッカケづくりが重要と読み取れます。

・ワクワク感が、関心⇒行動をドライブする

同調査とは別ですが、ヒトが『知る→関心をもつ→行動する』には、内発的な”ワクワク感”が重要だと結論付けている研究があります。

知識として”知る”だけでは無く、『もっと知りたい、行動したい』という内発的欲求を引き出すには、ワクワクが必要です。

本研究の対象は高校生ですが、幅広い世代にも適用できそうです。上述の、水への関心度×水との触れ合い経験の相関とも一致しそうです。

ワクワクが知的欲求と行動を促す
(出典:https://industry-co-creation.com/lifestyle/69146)

サントリーでは、子どもを対象に『水育』を行っています。身体感覚を通じて、水の大切さや魅力を伝える自然体験学習が人気です。

まさに、水の将来を担う子どもの”ワクワクを創発する”素晴らしい活動だと思います。

企業のCSR活動では、『どうやってワクワクを創発するか?』という視点が大切だと言えそうです。


・水災害への不安度と、企業対応の重要性

同調査によると、水災害に不安を感じる方の割合は60%を超えています。

年々、台風や集中豪雨、浸水被害などの水災害が増加する中、5年前の調査結果と比較しても、不安を感じる方の割合が増えています。

水の災害への不安度
(出典:ミツカン水の文化センター 2023年『水にかかわる生活意識調査』)

2024年初めの能登半島地震では、広範囲で断水が発生しました。

災害用シャワーシステムを提供するWOTAでは、地震発生からわずか10日間で、避難所各地で災害用シャワーの運用体制構築、断水エリア全域のカバーに向けた計画を発表しています。

同社のスピード対応は、実際に被災地に貢献するとともに、企業価値向上にもつながっています。

水災害の増加に伴い、水の価値、魅力を改めて意識する機会が増えています。企業の災害対応は、企業責任としてはもちろん、ブランディングの観点でも大変重要です。



・実は、水道料金値上げの許容度が高い理由

全国の水道事業体のうち、約3分の1が赤字です。継続的なサービス提供のためには、水道料金見直しの議論が必要かもしれません。

同調査では、公共インフラ料金の中で、水道料金が最も値上げを受け入れやすいという結果でした。

各インフラ料金の値上げ許容度
(出典:ミツカン水の文化センター 2023年『水にかかわる生活意識調査』)


これは、単純に”他よりも水道料金が安いから”であると推察されます。

総務省統計局の家計調査報告(2023年4月)によると、2人以上世帯において、電気代が月額13,617円、通信費用11,373円、ガス代6,796円に対して、上下水道料は4,908円。

下水道料金を合わせても、最も負担が少ないです。

もともと安価な水道料金ですが、ここ約20年の料金上昇率は、数%程度に留まっています。(地域差はありますが)

給水規模ごとの水道料金推移
(出典:令和3年度 水道統計総論)

適正な上下水道料金に関する議論を進めるには、世間に水道・下水道の現状や価値を理解してもらい、”納得感”を得る必要があります。

2024年度からは、水道事業が厚労省⇒国交省に移管され、上下水道の一体管理が始まります。

産官学民が一丸となり、上下水道の魅力や価値を向上する取り組みが重要です。


・まとめ

ミツカン水の文化センター『水にかかわる生活意識調査』の結果を見てきました。

コロナ禍でのアウトドア流行により、水とふれ合う機会も増えています。水災害、水道料金といった身近な話題も増加する中で、水への関心度は、今後さらに高まると思います。

毎日ふれ合う水。コンテンツとしての認知度は抜群です。

水への関心・行動を増やすには、身近なテーマを交えながら、水の魅力を”感性”に突き刺すアプローチで、ワクワクを創発する必要がありそうです。

水ワクLaboとして、その辺りを引き続き探求したいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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