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クリードテイラー

 8月23日にプロデューサーのクリードテイラーが亡くなりました。僕が初めて聴いた彼のプロデュース作品はジョージベンソンのBad benson。その後デオダートのファーストアルバムでCTIにどっぷりハマりCTIに限らずA&M時代のCTI、ヴァーブ時代のアルバムもたくさん聴きました。彼の略歴や個人的な感想を書こうと思います。

略歴

 クリードテイラーは1929年生まれ。ベツレヘムレコードに入社、その後ABCに転職してインパルス!を設立するも翌年ヴァーブに転職。1967年にA&Mレコードに入社すると自身の名を冠したCTIを創設し1970年に独立(A&M時代のCTIはA&Mとします。)さらにR&B色を強めたサブレーベルのKUDUを設立。CTIが1980年に倒産した後の動向はザッと調べた限りではわかりませんでしたが1990年代に引退したようです。

特徴

 彼のサウンドの特徴はアレンジャーを起用したダイナミックな編曲と様々な音楽との融合があります。ビッグバンドサウンドを取り入れたインパルス!時代やビッグバンドにストリングまで加えたり、ブラジル音楽との融合を行ったヴァーブ時代、よりクラシカルなアレンジやロック、ソウルを融合したA&M時代、ポップスやファンク、スペイン音楽、ディスコを融合したCTI時代。過剰と言われることもあるアレンジは個々のプレイヤーは息苦しかったかもしれませんがアレンジャーにとっては腕の鳴る仕事だったのではないでしょうか。

おすすめ盤

Discogsによると彼がプロデュースしたアルバムは1300枚(ただしシングルやプロモ、本人が直接関わっていないベスト盤や編集盤込み)と膨大ですが何枚かに絞ってみました。Discogsと盤のクレジットを参考にしているので間違いや名前だけの可能性もあります。ベツレヘムとABC(インパルス!設立前)に関してはあまり聞いていないので今回は省きます。

インパルス!

インパルス!にはレイチャールズのBlues + Genius =jazzとオリヴァーネルソンのThe blues and the abstract truthの二枚のみ(ただしオリヴァーネルソンに関しては全曲ではないようです) ですがどちらも彼らしくないサウンドでまだプロデューサーの個性ができっていない印象です。(もちろん内容は素晴らしいです)

ヴァーブ

Stan Getz. Getz/Gilberto
ボサノヴァをアメリカでヒットさせた記念すべきアルバムです。彼はスタンゲッツやジョアンジルベルトとはあまり仕事をしていませんがこのセッションに参加したアストラッドジルベルトやアントニオカルロスジョビンとは何枚かのアルバムをプロデュースしていくことになるのでクリード自身のキャリアでも重要な一枚でしょう。

Jimmy smith & Wes montgomery. The dynamic duo
ジミースミスとウェスモンゴメリーがリーダーでアレンジャーをオリヴァーネルソンが務めた作品。ウェスとはCTIまでの付き合いが続きますがジミーとはヴァーブ時代で関係は終わります。このレコードに限らずジミーのレコーディングに参加したアレンジャー、サイドマンの中にはCTIまで仕事を続ける人の名前が多くあります。(例えばThe catではラロシフリンをアレンジャーにしているほかケニーバレル、グラディテイトとも連名のアルバムをリリースしています)内容は2人のソウルフルな演奏にダイナミックなホーンが乗っかる最高にかっこいい一枚です。

A&M

Quincy Jones. Walking in the space
クインシージョーンズのファーストアルバムのプロデュースを行ったのがクリードテイラーでした。久々のクリードプロデュース作ではクインシーらしい聴くだけでワクワクしてしまうビッグバンドサウンドに電気楽器やロックビート、ゴスペルをミックスした楽しいフュージョンです。

Antonio Carlos Jobin  wave
ヴァーブ時代も含めると二枚目のクリードプロデュースのアルバムです。ジャズとボサノヴァを融合した清涼感あるポップなサウンドです。

CTI

この時代は好きなアルバムが多すぎて選べません。強いて言うなら1970年から1975年までのアルバムはどれもハズレがないのでその時代のアルバムで僕が聴いたもの全てです。

感想

僕が16の時ロックに出会ったことで音楽に夢中になり、カバーのオリジナルからどんどんソウルやR&Bにどハマりします。ジャズと出会ったのは17の時でしたが何が良いのか当時の自分には分からず無理聴いていました。段々と音楽の知識も深まりジャズの良さがわかるようになってからも難しい顔しながら聴いて段々と良さがわかっていくものだと思って聴いていました。しかし冒頭に書いた二枚のアルバムを聴いてその先入観が壊れてジャズにどっぷりのめり込んでいきました。またCTIのレコードにはミュージシャンのクレジットがびっしりと書かれていてそれをみてワクワクすると同時にそれを参考に聴いたことがなかったミュージシャンのアルバムを聴きハマる。そしてまたクレジットを読むの無限ループで知識を深めていきました。(僕のページでびっしりと参加メンバーを書いているのはCTIリスペクトです笑)


彼の常識にとらわれない柔軟な発想や豪華なアレンジは賛否を呼び、フュージョンという新たなジャンルをつくりだした一方で未だに心無い言葉で彼がプロデューススタイルを批判する人もいます。しかしジャズと接点のなかった人や小難しさを感じていた人をジャズなしでは生きられないくらい夢中にしたことも事実です。(僕がその1人です)これからも彼のプロデュース作を多く紹介できたらいいなと思います。クリードテイラーさんありがとうございました。

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