見出し画像

水の空の物語 第4章 第31話

 藤原の御泉から、風花の家までの帰り道の途中に、大きな竹藪がある。

  竹藪の真ん中には、細い道が一本通っている。 竹の葉に覆われて、トンネルのようになってい道だ。

  風花たちは、その道の隅にすわっていた。 そうすれば、外から見えないからだ。

  ……春ヶ原が壊れそうなんて、本当に?
 風花は聞きたかったが、できなかった。

 夏澄に何度も同じことをいわせないほうがいい気がした。

  そういえば……。 

 夏澄くんがさっきいおうとしていたことは、これだったのかな。 

「夏澄くん、だいじょうぶ?」

 夏澄はひざを抱え、ずっと黙り込んでいた。

 「なにかに寄りかかると楽だよ。背中貸そうか?」
 夏澄は瞳を見開き、やがて、微笑む。

「ありがとう。じゃあ、本当に疲れた時、お願いするよ」

  ……ばかなこといっちゃたかな。

  風花の頬は少し赤くなった。 

「ねえ、夏澄。何故、そう思ったの? 詳しく話してくれる?」

 静かにスーフィアが切り出した。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?