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水の空の物語 第4章 第32話

「優月を癒やしたときのことだけど……」

 夏澄の声は細い。

「春ヶ原の結界が弱っているのに気づいたんだよ」

「弱ってる……?」

「立貴の霊力が弱っているのが原因だと思う。よ。きっと、いつも風に襲われて疲弊しているんだ」 

 立貴くんが……?
 風花はぼんやりしてしまう。

  風の影響がそこまで強いとは思わなかった。

  本当に壊れる? 春ヶ原が?
 動物のみんながあんなに幸せそうにしているのに。

「春ヶ原を襲う霊力は、思ったより強いのかもしれない」

「あそこは、夏澄くんの故郷と似ているんだよね」
「ありがとう、風花。うん、似ている。だから、護りたいんだ」

「夏澄くん……」

「俺、春ヶ原を護りたい」
 夏澄は、願うような瞳をしていた。





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