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水の空の物語 第2章 第11話

「う、うん……」

 風花はそれだけしかいえなかった。

 まっすぐな視線を受けると、どきどきしてしまう。本当は目一杯の笑顔で、返事をしたかった。

 そんな風花に、夏澄は瞳を曇らせる。

 風花はあわてて続けた。

「あ、あのね、手伝うよ。絶対、手伝う。わたしね、夏澄くんを手伝えたら、すごくいいなって思ってたんだから」

「そう……?

「うんっ。夏澄くんの故郷が元にもどったら、すごくいいなって思う。みんなが幸せな国って、私にとっても夢なの。だからね、飛雨くん」

 風花は一度、言葉を切って、飛雨に向き直った。

「な、なんだよ」

 飛雨は身構える。風花は深々と頭を下げた。

「わたしに、霊力の身につけ方を教えてくださいっ。お願いしますっ!」

「はあっ?!」

 飛雨は声をあげた。

 しばらく沈黙したあと、思い切り迷惑そうな顔をする。それを隠すように、瞳を伏せた。

「う、ん……。でも、それはちょっと難しいかもしれないね。霊力っていうのは、生まれつきのもの……」

 飛雨の言葉を、スーフィアが手で制して止めた。

「なんだよ、スーフィア」

「飛雨、また夏澄のモノマネになっているわ」

 飛雨は顔を赤くした。

「また、それかよ。してねーよ!」
「本当に夏澄が好きなのね」

「してねーって!」




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