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日ペンの美子ちゃんは、その時代の女の子の生き方を描いているよね【読書感想文・長文注意】


みゆです。

私は以前、こんな記事を書きました。


長い間、温めていた日ペンの美子ちゃんの事を記事にしました。
その中で、美子ちゃんの本が出ている事を知りました。そんな本が出ていたなんて知らなかった私は、速攻でポチったのでした。


2004年に発行された本なので、定価の新品では手に入りませんが、手頃な価格の中古で手に入るようです。私も程度の良い中古で手に入れました。

この本の筆者は岡崎いずみさんで、1972年から1999年までの4代に渡る美子ちゃんの歴史がぎっしり詰まった本です。

初代から4代目までの美子ちゃんが取り上げられており、歴代のマンガとその解説、4人の先生へのインタビュー、それぞれの美子ちゃんの人となりやコラム、さらに著名人のエッセイが掲載されています。盛りだくさんな内容で、この1冊で美子ちゃんの事がバッチリ分かります!

日ペンの美子ちゃんは、ある年齢以上の方だったらみんな知っているキャラクターです。がくぶんのボールペン字講座の広告マンガのキャラクターの美子ちゃんは、雑誌の裏表紙で熱くボールペン字の魅力を語り、恋にスポーツにバトルに大活躍していました。

中を見てみると、歴代の美子ちゃんのマンガがたくさん載っていて、懐かしくてたまらなくなります。
一言で美子ちゃんと言っても、それぞれの美子ちゃんでキャラ設定から性格まで全く違うのです。

それでは、ここからそれぞれの美子ちゃんの事を書いていこうと思います。なるべく長文にならないようにしたいと思います。←思うだけですw


初代の美子ちゃん


矢吹れい子先生が描く初代美子ちゃん。
初代美子ちゃんは、私が物心つく時にはもうマンガ雑誌に載っていました。
この美子ちゃんは美人で、モテモテでおしゃれな子です。

このモテモテっぷりも半端なく、10人以上のボーイフレンドを侍らせているのです。なんとも羨ましい限りです。
美子ちゃんは海水浴や色々な集まりを企画しては美文字で招待状を出しまくり(しかも郵送で!)、みんなにチヤホヤされています。その招待されているのは、常に男性ばかりというのが潔くていいなと思います。

それに、素敵な彼氏を見つけるためのマメさには脱帽モノです。その時には、日ペンで鍛えた美文字が大活躍するのです。

美子ちゃんは、ちょっとふわふわした夢見がちな女の子なんですが、高校を卒業後は普通の企業に就職します。そこでも美文字を生かして、社長秘書まで上り詰めるのです。そして、出世頭の旦那さんを見つけます。その人は、歴代彼氏みたいなイケメンではありません。だけど美子ちゃんは、見た目ではなく結婚相手としてふさわしいお相手と結ばれたのです。その後、旦那さんは順調に出世して、美子ちゃんは裕福で優雅な奥様になるのです。

美文字で絵に書いたような幸せを掴んだ美子ちゃん。本当に羨ましい限りです!


2代目の美子ちゃん


2代目の美子ちゃんは、森里真美先生が描いています。
この2代目美子ちゃんは1年間程度しか掲載されなかったので、とてもレアな美子ちゃんなんだそうです。だから、私もあまり印象になかったんです。

2代目美子ちゃんは、初代美子ちゃんを「美子おねえさま」と慕う、おっとりとしてお上品で美人なお嬢様なんです。
この本には、2代目美子ちゃんのマンガは2本しか掲載されていません。だから、この美子ちゃんがどんな子なのかはよく分かりませんが、性格は良さそうだし、お嬢様だし、字も美しいのでガチっと幸せをつかんでいそうですね。
そうそう、この美子ちゃんはジュリーのファンみたいですよ。ファンレターを出したら、ジュリーからお返事がきていました。これも美文字効果なんですね。


3代目の美子ちゃん


3代目の美子ちゃんはまつもとみな先生が描いています。
まつもとみなと名乗っていますが、この先生はさとうげん先生という男性なんですよね。
なんでも、この3代目美子ちゃんから男性用の雑誌にも進出する事になって、男性受けする美子ちゃんにチェンジする流れになったからなんだそうです。

この美子ちゃんは、初代、2代目の少女マンガ風からアニメ風の萌えキャラ美子ちゃんに大きく変わりました。作風も今までの様なおしゃれや恋愛チックな事は薄まり、バトル物がよく出てきます。
この美子ちゃんは、私もよく色々な雑誌で見ました。
ワープロのマイコ」「マンガ字のマコ」とよくバトルをしていました。

ワープロ・・・懐かしい響きです。それまでのタイプライターからワープロに変わっていった頃なんでしょうね。お若い皆さんは、タイプライターもワープロもご存じでしょうか。ワープロをざっくり説明すると、正式名称をワードプロセッサーといい、Wordだけが使えるパソコン風の機械という感じの物です。

👆 一応まだ中古が売っている模様です

👆 なかなかなお値段しますね。ちなみに和文タイプライターだともっと大掛かりな装置みたいなものになります。


美子ちゃんは、このマイコと熱いバトルを繰り広げるのです。
ワープロの文字は心がこもっていないわ!日ペンで練習した私の美しい文字しか勝たん!!
というお約束で美子ちゃんが勝利するのです。

もう一人のライバルは、マンガ字のマコです。
マンガ字というのも懐かしい響きです。たしか、小学校の高学年頃から流行っていたように思います。私もかわいい文字が書きたくて、ひそかに練習したりしました。

👆 丸文字ともいいます。


マンガ字のマコとのバトルもお約束の展開です。
マンガ字なんて、そんな読み辛い字は通用しないわ!日ペンでれんし・・・(以下略w)


4代目の美子ちゃん


4代目の美子ちゃんはひろかずみ先生が描いています。
私は、この頃にはもうマンガ雑誌は読まなくなっていたので、あまり記憶にはありません。
この美子ちゃんは、今どきの子でかわいい子です。美子ちゃんのお友達も過去の作品とは違い、かわいい子が揃っているのが特徴です。

この4代目の美子ちゃんもバトル物がありました!
それは、ワープロのセイコとのバトルです。展開はもちろんお約束のアレです。そう、「ワープ・・・(以下略w)

さて、この4代目美子ちゃんは、かわいくて明るくてスポーツ万能で字も上手いのにモテません。初代の流れでいくとモテるはずなのに一体どうしたというのでしょうか。
どうも4代目の美子ちゃんがモテない理由は、地味な性格と無頓着な所にあるようなのです。

ああ、これではいけませんね。性格はともかくとして無頓着はいけません。これでは、せっかくの日ペンで鍛えた美文字がムダになってしまいます。
4代目の美子ちゃんは、字が上手いばかりに皆に様々な事を押し付けられるは(例えば部活の部員名簿の清書など)ライバル校との対決に巻き込まれるは散々なのです。
なんだか、あまりの不憫さに思わず、♪ええいああ君から「もらい泣き」と一青窈さんの歌が脳内再生する始末です。


日ペンの謎


この本には巻末に黄色い紙の日ペンの謎という項目のページがあります。
日ペンの謎とな。謎って何なん?

まずは、日ペンの中の人に聞いたボールペン字講座の全容が明かされるのです。マンガでは見ていても、実際の所どうなん?って思っていました。
教材の内容は、よくあるテキストや秘密兵器ビ・マスターですね。
この教材で練習すると、ペン字検定(現・硬質書写検定)に合格できる腕前が身に付くとか。この検定は文部科学省の後援なので、履歴書にも書ける資格です。私も、高校の時に学校で強制的に受験させられたのでペン字検定3級は持っています。その先は取りませんでしたけどね。

そして、この日ペンの謎の最大の謎。それは、受講者の体験談です。
マンガの下の方に小さく載っていた、顔写真入りの体験談。皆さんは覚えていますか?

字が汚いばかりに、自信が持てず、友人もいなくて寂しい毎日だったけれど、思い切って日ペンを受講して字がきれいになるとあら不思議。全ての事が上手くいき、毎日がとっても楽しくて充実しているの!!というアレです。

だけど、昭和の頃とはいえそこに載っている顔写真は、お世辞にも幸せそうとはいえない物ばかり。この本でも、その事には触れてあり、この体験談はじっとりと重く、写真を見ても今が幸せには見えない!と書かれています。たしかに、私もそれは思います。

ところが、時代が進むにつれ、体験談も明るさを増すのです。よりポップになったとでもいいましょうか。載っている顔写真もプリクラ風でピースしたり、可愛くなっているというのです。
この辺りの体験談は、私はもう読んでいなくて知らない世界だったので、とても驚きました。
この体験談も世の中の状態と同じで、より楽しい方へとシフトして行っているのでしょうね。


日ペンの美子ちゃんというマンガは、広告マンガですがただの広告ではありません。歴代の美子ちゃんを通じて、その時代時代の女の子の生き方を現しているのです。
その時代時代で違っていく、女性の生き方や価値観みたいな物を如実に示す教科書のような存在だと改めて思うのでした。

そして、令和の今、美子ちゃんは6代目へと引き継がれ新たな歴史を刻んでいくのです。

あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度
日ペンの美子ちゃんよ、永遠に・・・




👆 こんな物を発見!



手短に書くと言いながら、また長文になってしまいました。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪





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