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好きな人と見る海

今日はデートだ!

お天気のいい日曜日。私は着ていく服をどれにしようか考えていた。

彼とは初めてのデート。行先もまだ決まっていない。

着ていく服もだけど、髪もちゃんとしなくちゃいけないし、メイクもしなくちゃ!あー、もう。時間が無くなっちゃう!!

何とか服を選び、メイクをし、髪も整えた。そろそろ家を出て、待ち合わせ場所に行こう。

てくてくと大通りまで歩く。10分前に到着すると、小さな鏡で前髪をチェックしながら、今日はどこに行こうかなぁと考える。

彼は中学の部活のひとつ上の先輩だ。ずっと会った事も無かったけれど、この前偶然飲み屋で再会したのだった。

初めてちゃんと話したのに、なぜかウマが合って楽しかった。帰り際に連絡先を交換して何回か電話で話した。そこで話が盛り上がり、どこかに行こうと話がつき今日のデートとなったのだ。

ほどなく彼がやって来た。白のマークⅡが彼の愛車だ。

「これからどこ行く?」

「うーんとね、遊園地に行きたいな。」

「俺、ジェットコースターは乗りたくないよ。」

遊園地まで1時間半。いろいろお互いの事を話しているうちに到着した。

日曜日の昼下がりの遊園地。たくさんの家族連れやカップル、仲間同士でワイワイしているグループ。そんな中を2人で歩く。

嫌がる彼とジェットコースターに乗り、広い園内を歩き、乗り物に乗った。射的をしようという彼と射的をした。子供の頃を思い出して2人ではしゃいだ。

何か食べようとフードコートに行く。うどんを食べながら、高校時代に友達とした会話を思い出していた。

「デートで食べるのにふさわしい物って何かな?」

「グラタンとかピラフかなー?」

「うどんとかラーメンはズルズル言うからナシだよね!ハンバーガーは大口開けるし汚れちゃうよね。」

心の中で苦笑いをした。よりによって今の私はナシだという事になったうどんをすすっていたのだから。でも、2人で食べるうどんは温かくておいしかった。

帰りの車の中で私は帰ってしまうのが少し物足りなかった。

彼が海に行こうかと誘ってくれた。二つ返事でOKした私。

車は海に向かってぐんぐん走る。暗くなった頃海に着いた。そこの海は、海岸線まで車で入る事ができる。

私達の他にもカップルらしき車がたくさん止まっている。

車から降りると、うーんと伸びをした。海のにおいがした。海を眺めながらしんみりする。彼がそっと手をつないできた。なぜか、少し恥ずかしくなってきた。

それからだ。

彼がいきなりお相撲の様な事を始めてきた。じゃれあって楽しかったけれど、私は砂浜に倒れてしまった。

彼が起こしてくれたけれど、洋服に砂が付いてしまった。

「もうー。砂が付いちゃったじゃん。」

とむくれてみせた私に、彼は砂を払ってくれながら

「ごめん、ごめん。そんなかわいいカッコで来るからだよ。」

と少しぶっきらぼうに言った。

車に戻り、また少し海と星を眺めてから帰る事にした。

また1時間のドライブ。帰り道は、行く時とは違う感情が生まれた。私、この人の事が好きになってしまったかもしれない。

今度は家の前まで送ってもらい車を降りた。見えなくなるまで見送って家の中に入った。

お風呂につかりながら、今日の事を考える。遊園地も楽しかったけれど、好きな人と見る海っていいなと。友達と行く海へのドライブとは違う。同じ海でも、もっともっと素敵に見えた。また、一緒に見に行けたらいいな。


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