#52|子どもの「社会性」を伸ばす機会を作るのは親の仕事|4~5歳児向け
3歳ごろまで激しかった娘の人見知りも、いつの頃からか悩まなくなった。初対面の人の前では硬直し、「ママ…」と細い声で私にしがみついていた記憶が懐かしい。
当たり前のことだが、子どもは成長する。そしていつか、独り立ちする日がくる。成長、そして自立の過程で必ず必要になるのが、円滑な人間関係を構築する力、つまり「社会性」だ。
アリストテレスも、
人間は社会的動物(存在)である
と言っている。
とすると、人間は生まれながらに「社会的な資質」を備えているのか。人として生きていく過程で、何の苦も無く社会性を発揮しながら成長・発達していくのだろうか。
おそらく、そうではない。
社会性は、「他者との関わり」があって初めて必要とされるもの。他人同士の集団に存在し、適応しようと努力することで、徐々に学び行動様式として身につけていくものだろう。
人間を人間たらしめている要素である「社会性」は幼児期、特に4~5歳に大きく発達するタイミングがあるのだという。
乳児期は愛情をたっぷり受けて、他者への基本的信頼感を作り上げる時期。
1~3歳は「個(自分)」を第一にし、徐々に興味の対象を外に向けていく過程を経ながら社会性の基盤を作り上げる時期。
そして4歳・5歳が、他者との関わりが密になり、コミュニケーションを介して思いやりや道徳性といった「他に向いた感情」を学んでいくのだという。
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たまたま、市が主催した子供向けバスツアー(半日)に参加する機会があった。
・ツアーの内容が興味があるものだったこと、
・「バスに乗る」経験をさせたかったこと。
(※ 地方住みは公共交通機関をほぼ使わない)
この2点が、参加を決めたきっかけだ。
当初は気軽に遊びに行くだけのつもりだった。
だが結果的に「社会性を身につけるべき時期」に、社会性を学ぶ良い機会を得た。思いがけず。
娘は元来かなりのマイペース気質だ。
そして一人っ子故、マイペースが許容される場面は多い。
もちろん、保育園では集団生活を決まったスケジュールに沿って進めている(かなりマイペースさを発揮しているらしいが)。
ただ保育園は、自分の性格を把握している友達・先生だけに囲まれた、安心環境だ。
バスツアーではそうはいかない。
バスツアーの半日の間は、
今日初めて会った人たちと、
決まったスケジュールに従って、
決まった順番で、
決まった時間で動いて行かないといけない。
「なんでダメなの?」と何度聞かれただろう。
「もうあっちに行こ?娘ちゃん、あっちに行きたい!」と言う口を、何度制しただろう。
そのたびに集団のお出かけでは、規律を無視してはいけないことや思いやりのある行動が大事なこと、「ルール」が意味することなど…等を言って聞かせることになる。
そして私の説明を聞いた娘は、時に葛藤もあったろうが、半日のバスツアーを楽しみ、乗り切ってきた。マイペースな娘が「初対面の人ばかり、かつ決まった通りに動かないといけない」学んだことは多かったようだ。
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これは重要な気づきかもしれない。
普段にはない「社会性を学ぶ経験」を得たと感じたということは、「社会性を学ぶ機会」は日常の外に存在することを意味する。
お金をかけたり、遠くに行ったりする必要はない。日常のわずかな外側でいい。
他者との関わりを学ぶ4~5歳の時期に、
✔ 初対面の人と接する機会
✔ 規律に従うまとまった時間
この2点を経験できる場を意識的に設けること。
これが、子どもの「社会性」を伸ばすために親がしてやれることではないか。
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これからますます複雑化する社会を生きていく上で、社会性が人生に与える意義は大きくなる一方だろう。できる限りの場を作っていこう、そう決めた半日だった。
とても楽しかったので、親がまた行きたい気というのもあるけれど。
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